3-1

レーニンは科学的社会主義の党の綱領のあり方を示した

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〈目次〉

Ⅰ、党綱領はどのようにつくられなければならないのか。

Ⅱ、レーニンが「わが党の綱領草案」で教えていること

Ⅲ、現在の日本の科学的社会主義の党の綱領のあり方

1、経済的発展の基本的性格とその不可避的な結果について

 2、プロレタリアートの階級闘争の持つ意味

 3、政治的自由を拡大し、基本的な民主主義的要求を実現するための〝言論分野の民主化〟と〝代議員制度の民主化〟

①〝言論分野の民主化〟

②〝代議員制度の民主化〟

  ㋐「代議員への立候補」について

  ㋑「代議員の選出方法」について

  ㋒「政治団体(政党)の維持」にかんして

 4、労働者階級を中心とする諸階層のための諸要求の提示

付録:このページをよりよく理解していただくための全集の抜粋の紹介

3-1

レーニンは科学的社会主義の党の綱領のあり方を示した

 

党綱領はどのようにつくられなければならないのか

 

☆マルクスとエンゲルスは1847年に『共産党宣言』で、私たちが歴史のどこにいて、何をしなければならないかを、明瞭に示しました。そして、マルクスはヴァイデマイヤーあての手紙 (1852.3.5)でマルクスが新しくやったこととして、つぎの三つことを述べています。

1、史的唯物論を発見したこと 

2、階級闘争は必然的にプロレタリアートの独裁に導くこと

3、この独裁は、いっさいの階級の廃止と無階級社会への通過点に過ぎないということ

 このマルクスとエンゲルスの基本思想を学び受け継いだ若きレーニンは、1894年春から夏に執筆した『「人民の友」とはなにか』で「社会民主主義者」と「その綱領」の「目的」について、社会民主主義者はその全注意と全希望を労働者階級に向ければならないこと、その綱領は労働者階級の階級的自覚の発達ということを目的として、その全活動をこの階級をたすけて、資本主義制度にたいするその廃絶のための政治闘争にたちあがらせること、この闘争に全労働者階級を引きいれること、そのことがマルクス主義者の闘争の目的であること、を述べています。

*詳しくは、ホームページ5「温故知新」→3「レーニンの考えの紹介」→「A-2、科学的社会主義・その2(2-3)」の「2-1 ロシアのマルクス主義者の闘争の目的」のPDFファイルをご覧ください。

 そして、レーニンは、1894年末から1895年始めに執筆した『ナロードニキ主義の経済学的内容』で、勤労階級の思想的代表者たちが行うべきことは、現時点における激烈な階級闘争の明確な『合言葉』を労働者階級に提示することであり、その努力の成果を測る尺度は“どれだけ多くの労働者にこの思想を普及させることが出来たか”であることを述べ、そのためには、経済闘争、「狭い」小さな実生活上の諸問題と労働者階級の解放の課題とが密接不可分な「融合」した闘争課題であることを示し、労働者の階級的自覚を高めることであることを述べています。(*1)そして、そのために、マルクス主義者は、「社会現象の根源を社会関係のうちに探しもとめ、それらの根源を一定の階級の利益に還元しなければならない」こと、そして、諸事実をこのような観点から再検討して問題を提起するならば、それらはプロレタリアートに「実地に利用される運命をもつであろう」ということを述べ、これを認識の原点にしなければならないといっています。(*2)

(*1)詳しくは、ホームページ5「温故知新」→3「レーニンの考えの紹介」→「A-2、科学的社会主義・その2(2-3)」の「2-5 勤労階級の思想的代表者たちが行うべきこと」のPDFファイルをご覧ください。

(*2)詳しくは、ホームページ5「温故知新」→3「レーニンの考えの紹介」→「A-1、科学的社会主義・その1(1)」の「1-16マルクス主義者は〔切実な要求〕をプロレタリアートの要求としてプロレタリアートが利用するためにマルクス主義者の仕方で定式化せよ」のPDFファイルをご覧ください。

 そして、1895年から1896年に執筆した「社会民主党綱領草案と解説」の「綱領草案」で、レーニンは、「ロシア社会民主党は、労働者の階級的自覚を発達させ、彼らの組織化に助力し、闘争の任務と目標とを指示することによって、ロシアの労働者階級のこの闘争を援助することを、自分の任務として宣言する」と、述べています。

 

レーニンが「わが党の綱領草案」で教えていること

☆1895年から1896年に獄中で「社会民主党綱領草案と解説」執筆し、1899年末に「わが党の綱領草案」を執筆したレーニンは、「わが党の綱領草案」で次のように述べています。

 綱領は、

①党の基本的な見解の定式化をおこなうこと

②党の当面の政治的任務の正確な規定をおこなうこと

③煽動活動の範囲を標示すべき当面の諸要求をしめし、煽動活動に統一性をあたえ、煽動活動をひろめまたふかめ、煽動を小さな、ばらばらな要求のための部分的、断片的な煽動から、社会民主主義的な諸要求の総体のための煽動へたかめるものでなければならないこと

④そのために、「ロシア社会民主労働党の綱領の構成部分は、つぎのようなものでなければならない」として、以下の項目を列挙しています。

(一)ロシアの経済的発展の基本的性格をしめすこと。

(二)資本主義の不可避的な結果、すなわち、労働者の貧困の増大とその憤激の増大をしめすこと。

(三)プロレタリアートの階級闘争をわれわれの運動の基礎としてしめすこと。

(四)社会民主主義的な労働運動の終局目標、この目標の実現のために政治権力をたたかいとろうとするその志向、運動の国際的性格をしめすこと。

(五)階級闘争の必然的な政治的性格をしめすこと。

(六)ロシアの絶対主義は、人民の無権利と抑圧の条件となっている点で、また搾取者を庇護している点で、労働運動の主要な妨害物であり、したがって、政治的自由の獲得──それは社会発展全体のためにも必要である──こそ党の当面の政治的任務をなしていることをしめすこと。

(七)党は、絶対主義に反対して闘争するすべての党と住民層を支持するであろうし、わが国の政府のデマ的な脆計にたいして闘うであろうということをしめすこと。

(八)基本的な民主主義的諸要求と、つぎに(九)労働者階級のための諸要求、(一〇)農民のための諸要求を列挙し、これらの要求の一般的性格を説明すること。

*詳しくは、ホームページ5「温故知新」→3「レーニンの考えの紹介」→「B-1、党・その1(4)」の「4-2 綱領の役割と骨子」のPDFファイルをご覧ください。

 これらを踏まえ、現在の日本の科学的社会主義の党の綱領は、どのようなものでなければならないのか、一緒に見ていきましょう。

 なお、「③煽動活動の範囲を標示すべき当面の諸要求をしめし、煽動活動に統一性をあたえ、煽動活動をひろめまたふかめ、煽動を小さな、ばらばらな要求のための部分的、断片的な煽動から、社会民主主義的な諸要求の総体のための煽動へたかめるものでなければならない」という点については、ホームページ3-2「科学的社会主義の党のたたかい方」(作成中)で触れたいと思います。

現在の日本の科学的社会主義の党の綱領のあり方

経済的発展の基本的性格とその不可避的な結果について

☆まずはじめに、レーニンが「綱領の構成部分」に挙げた「(一)ロシアの経済的発展の基本的性格をしめすこと」と「(二)資本主義の不可避的な結果、すなわち、労働者の貧困の増大とその憤激の増大をしめすこと」についての日本の現状について、見てみましょう。

 1970年代のはじめに国内での資本主義的生産が限界に突き当りはじめた日本の独占資本は、海外での利潤拡大に活路を求めて、海外への資本と雇用の輸出を推し進めました。その結果、日本国内の〝産業の空洞化〟が進行し、90年代後半以降、その弊害は誰の目にも明らかになります。まず、労働需給が悪化し、その結果、不安定雇用の増大、その圧力のもとでの労働条件の悪化、低賃金による年金・医療財源の悪化と少子化の進行、生活扶助の増加等国民福祉全般の弱体化が急速に進みました。(詳しくはホームページ「70年代始め以降、財界が進めた政策」を参照して下さい。)

 国内での〝産業の空洞化〟は、同時に、海外での資産増強と海外での活動の質的変化をもたらします。

 「日経」電子版(2021/12/05)の「日本の設備投資、停滞の20年 総量1割増どまり」という記事によれば、2000年から2020年までの間の「生産的資本ストック」の増加率は、OECDの調べによると、日本が9%増なのに対し米国は48%増、英国は59%増で、その結果、2001年から2019年までの間の年平均の経済成長率は、日本が0.8%なのに対し米国は2.1%、英国は1.8%となり、日本の〝産業の空洞化〟がますます進んでいることがわかります。そして同記事は、日本企業の海外での資産増強、海外での活動について、「日本企業も海外では積極的にお金を使う。対外直接投資はコロナ前の19年に28兆円と10年前の4倍に膨らんだ。コロナ後も流れは変わらない。」と言います。

 これが、〝日本の資本〟の25年間の行動とその不可避的な結果です。

 同時にいま世界では、技術覇権を巡って、タイプの異なる二つの〝国家資本主義国〟どうしの激しい争いが繰り広げられています。

 5年前、「産業の空洞化」にともなう技術の衰退による世界覇権の危機を感じた米国のトランプ大統領は、国家と国民を捨て、労働者が生み出した富と雇用を海外に持ち出して富の蓄積を図るグローバル資本の行動を──「中国が富と雇用を盗んだ」──とすり替えて、世界覇権を脅かす最大のライバルである中国を攻撃の中心にすえて、全世界に貿易戦争を仕掛けました。このトランプ氏の後を継いだバイデン米大統領はこの戦略を見直し、中国に的を絞り、同盟国を中国から切り離して、それらを率いて中国とたたかって勝利し、米国が再び世界を主導するという戦略に戦い方を変更します。

 このバイデン政権の世界戦略は、米国の「帝国主義」国としての性格をはっきりと示すものです。なぜなら、中国から切り離された先進資本主義諸国は、「未来の製品や技術を開発」することで優位に立った米国中心の〝産業資源の供給網〟にしっかりと組み込まれ、「アメリカ・ファースト」に従わざるを得なくなります。その結果、米国が再び国家独占資本主義の国家として、世界の覇権を確かにし、「世界を再び導く」ことになりまです。これが、2021年4月28日に米国バイデン大統領が上下両院合同会議でおこなった施政方針演説で示されたバイデン政権の世界戦略です。

 これらの現実は、日本共産党がTPPについて「アメリカ式の経営モデルや経済モデルを外から強引に持ち込もうとする企て」などといって「批判」(?)したのとは異質のものであり、「経済の『グローバル化』を名目に世界の各国をアメリカ中心の経済秩序に組み込もうとする経済的覇権主義も、世界の経済に重大な混乱をもたらしている」などというアメリカ帝国主義の〝狙いと現実〟を見ない甘い認識とも相容れません。

 科学的社会主義の党の綱領は、このような〝日本の資本〟の行動とその不可避的な結果、そして、世界の二つの〝国家資本主義国〟の動向とそのもたらす結果を国民に明らかにし、その克服の仕方と克服して出来る〝経済は社会のため国民のためにある〟という社会の姿を広く国民に示さなければなりません。

プロレタリアートの階級闘争の持つ意味

☆次に、「(三)プロレタリアートの階級闘争をわれわれの運動の基礎としてしめすこと」、「(四)社会民主主義的な労働運動の終局目標、この目標の実現のために政治権力をたたかいとろうとするその志向、運動の国際的性格をしめすこと」及び「(五)階級闘争の必然的な政治的性格をしめすこと」について、つまり、プロレタリアートの階級闘争の持つ意味について、見てみましょう。

 レーニンは、「社会民主党綱領草案と解説」の「綱領草案」の「B 一」で、「ロシア社会民主党は、労働者の階級的自覚を発達させ、彼らの組織化に助力し、闘争の任務と目標とを指示することによって、ロシアの労働者階級のこの闘争を援助することを、自分の任務として宣言する」と述べています。

 なぜ、科学的社会主義の党は「労働者階級」にこだわるのか。

 それは、ホームページ3-3「レーニンは国家と社会を民主的に組織することこそが社会主義社会への途であることを示した」で見るとおり、新しい生産様式の社会とは〝経済は社会のため国民のためにある〟という社会で、①「資本」が「生産手段」と企業を支配する権利をはじめ、知的財産権等「財産」に基づく特権が国法をもって廃止しされ、②〝生産手段にたいする全人民の民主主義的管理〟が組織され、〝全勤労大衆の国事参加〟が民主主義的に組織された、社会全体が民主的に組織された社会であり、その中心を労働者階級が担う社会だからです。そしてこの〝労働者階級〟とは、企業の良い地位におかれた労働者を含む、資本の手先以外のすべての労働者のことであることは、いうまでもありません。

 しかし、残念ながら、日本共産党は「規約」で「科学的社会主義を理論的な基礎とする」「労働者階級の党」であることを謳いながら、本末転倒の運動を続けています。「規約」は、「(二)その職場、地域、学園で多数者の支持をえることを長期的な任務とし、その立場から、要求にこたえる政策および党勢拡大の目標と計画をたて、自覚的な活動にとりくむ」ことを党の支部の任務としています。このように、この党は、労働者階級が〝生産手段にたいする全人民の民主主義的管理〟を組織するための闘争を援助するのではなく、党が職場で「多数者の支持をえることを長期的な任務とし、その立場から、要求にこたえる政策および党勢拡大の目標と計画をたて、自覚的な活動にとりくむ」ことを目的としています。だから、「綱領」の中に「労働者階級」という言葉が二カ所に出てきますが、その歴史的使命とのかかわりでの「労働者階級」という言葉の使用ではありません。〝経済は社会のため国民のためにある〟という社会をめざし、そのために労働者階級が社会に民主主義を組織するのを〝党〟が〝援助〟をする、こういう観点がまったくありません。実に、残念で、情けないです。

 科学的社会主義の党の綱領は、新しい生産様式の社会の姿とそれを実現する労働者階級の歴史的使命を明らかにし、労働者階級の援助をすることによって国民を社会主義社会に導くことに力を尽くさなければなりません。

*なお、レーニンの社会主義社会を建設するうえでの労働組合の役割についての詳しい説明は、ホームページ3-3「レーニンは国家と社会を民主的に組織することこそが社会主義社会への途であることを示した」の中の「⑦新経済政策の諸条件のもとでの労働組合の役割と任務について」の「項」を参照して下さい。

政治的自由を拡大し、基本的な民主主義的要求を実現するための〝言論分野の民主化〟と〝代議員制度の民主化〟

☆次に、「(六)ロシアの絶対主義は、人民の無権利と抑圧の条件となっている点で、また搾取者を庇護している点で、労働運動の主要な妨害物であり、したがって、政治的自由の獲得──それは社会発展全体のためにも必要である──こそ党の当面の政治的任務をなしていることをしめすこと」、「(七)党は、絶対主義に反対して闘争するすべての党と住民層を支持するであろうし、わが国の政府のデマ的な脆計にたいして闘うであろうということをしめすこと」、及び「(八)基本的な民主主義的諸要求と」に関し、政治的自由を拡大し、基本的な民主主義的要求を実現するために必要な〝言論分野の民主化〟と〝代議員制度の民主化〟について、見てみましょう。

 

〝言論分野の民主化〟

☆わが国に於いては、〝政治的自由〟は当時のロシアに比べれば質的に前進しているとはいえ、職場に於ける差別、一般公務員の政治活動の制限、選挙活動の制限、民意を反映しない選挙制度等多くの問題があります。そして、これらの問題を国民が〝問題〟として意識するのを妨げる最大の手段が「放送の自由」と「出版の自由」です。

 レーニンは、1917年9月28(15)日の『ラボーチー・プーチ』で〝ブルジョア社会の「出版の自由」〟について、「ブルジョア社会の『出版の自由』とは、金持が、系統的に、たゆみなく、毎日、幾百万の部数で、搾取され、抑圧されている人民大衆すなわち貧民をだまし、堕落させ、愚弄する自由のことである。」(第25巻 P405)と言っています。

 国民が真実に基づく正しい問題意識を持つためには、言論分野の民主化が不可欠です。そのためには、①マスコミが一方の考えだけを流布したりフェイクニュースを拡めるのをチェックするための国民参加の仕組みを作るなどメディアの中立・公平性をたもつための国民の関与の仕組みをつくること、②行政機関等による「専門家」を隠れ蓑にした一方的な考えの流布による世論形成等を防止するための仕組みをつくること等が必要であり、現在の日本の「放送の自由」と「出版の自由」の実態を示して、国民に広く訴える必要があります。

 この間のテレビ放送には、目に余るものがあります。国際問題では日本のテレビも、BBCもCNNも米国の主張しか伝えず、国内の問題では政府(自民党)と財界の主張が受け入れられるような巧妙な言い回しを含め、問題の本質にまったく迫ろうとしません。科学的社会主義の党は、ことあるごとに、しっかりと、事実を示してマスコミ批判をしなければ、いつか来た道をまた通ることになってしまいます。

 

〝代議員制度の民主化〟

☆また、〝言論分野の民主化〟が正しい民意の形成にとって必要なことであるとすれば、〝代議員制度の民主化〟は正しい民意の反映にとって必要なことです。

 レーニンは、〝労働者・農民の政府での「出版の自由」〟について、同年(1917年)の11月4(17)日に執筆した『出版の自由についての決議案』で、次のように言っています。

「ブルジョアジーは、金持が新聞を発行し、資本家が定期刊行物を強奪する自由を、出版の自由と解してきたが、実際には、この強奪は、あらゆる国で──もっとも自由な国も例外ではなく──いたるところ、定期刊行物を金次第のものにした。

 労働者・農民の政府は、資本の圧迫のもとから定期刊行物を解放し、製紙工場と印刷所を国家の所有にうつし、一定の数(たとえば、一万人)に達した、それぞれの市民グループに、用紙ストックの適当な部分と印刷労働の適当な量とを利用する平等な権利をあたえることを、出版の自由と解している。」(第26巻P288~289)

 まだ、日本は社会主義社会になっていませんから、〝出版の自由〟について一足飛びに「労働者・農民の政府」のようなことはできませんが、正しい民意を反映させるための〝代議員制度の民主化〟を実現させるうえで、上記のレーニンの提案は大変参考になります。

 〝代議員制度の民主化〟について、㋐「代議員への立候補」、㋑「代議員の選出方法」、及び㋒「政治団体(政党)の維持」という順序で、極々大雑把に、見てみましょう。

「代議員への立候補」について

☆議員に立候補するにはお金がかかりすぎます。日本の供託金は、OECD加盟国の中で最高額であるといわれています。レーニンの『出版の自由についての決議案』ではないですが、「一定の数」の推薦人に達した人は供託金など納めることなく立候補することができるというような制度にするなど、「お金」から解放された制度にすべきです。

「代議員の選出方法」について

☆日本の選挙区制度は多くの民意が切り捨てられています。都道府県議会選挙では、各都道府県の議会による改善の余地はあるが、現状では多くの選挙区が一人区となっており、衆議院の制度は小選挙区比例代表並立制で、議員定数465名のうち289名が小選挙区選出の議員で占められ、民意が正しく反映されていません。議会制民主主義の根幹に係わることなので、倦むことなく、強く改善を訴えるべきです。

「政治団体(政党)の維持」にかんして

☆「金の力」による政治支配を打ち破るためにはお金が必要です。

 そして、資本家を打ち破って実現される“経済は社会のため国民のためにある”という〝国民の新しい共同社会〟を維持するためには、金権とフェイクのない“言論の自由”を一層発展させ国民・労働者階級の政治参加を一層容易にすることが必要であり、そのためには国民・労働者への国家による経済的な支援が必要です。そして、現在の日本でいえば、その経済的支援策の一つが「政党助成金」制度です。「政党助成金」は財政基盤のない政党を助けて、国民の考え・意見の新しい芽を伸ばし、政党の財政基盤を強め、国民の政治参加の可能性を広げるうえで積極的な意義をもっています。もちろん、現在の「政党助成金」制度には多くの改善すべき点もあります。しかし、現在の共産党の「政党助成金」についての対応は、新しい政治的潮流の勃興を抑制し、真に必要な選挙制度改革から国民の目をそらせ、自らの活動の幅を狭めるものとなっています。

*「政党助成金」に関する詳しい説明は、ホームページ3-2-4「民主主義の発展にブレーキをかける「政党助成金」への対応」を参照して下さい。

労働者階級を中心とする諸階層のための諸要求の提示

☆最後に、「(九)労働者階級のための諸要求、(一〇)農民のための諸要求を列挙し、これらの要求の一般的性格を説明すること」に関して、見てみましょう。

 ここで科学的社会主義の党が提示すべき諸要求は、現在の生産力の発展段階で科学的社会主義の党が労働者階級を中心とする諸階層と力を合わせて実現すべき目標であり、科学的社会主義の党が描く近未来の姿です。だから、当面たたかわれる選挙戦における政策の柱となるもので、戦いの旗印です。

 だから、「『ルールなき資本主義』の現状を打破し、……国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」とか、「大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる」などと、中身のない意味不明なことを綱領に書いていてはダメです。

 なお、「労働者階級を中心とする諸階層のための諸要求」のなかで、是非、みなさんに留意しておいていただきたいのが、女性の雇用の問題です。DVで離婚を望んでいる女性はたくさんいます。しかし、そういう方々の相談に乗っても、離婚を思いとどまるような役回りにならざるをえないような場合がしばしばあります。それは、なかなか経済的な自立ができない場合が多すぎるからです。不幸な女性を出さないためには、雇用機会の均等と平等な賃金の保障が、絶対に必要です。

 

このページをよりよく理解していただくための全集の抜粋の紹介

☆以上、レーニンから学ぶ、現在の日本の科学的社会主義の党の綱領のあり方を見てきました。このページでのレーニンの考えをよりよく理解していただくために、下記の文章を集録したPDFファイル「3-1-2「社会民主党綱領」関係の抜粋」を作りましたので、是非、ご活用ください。

☆1895-1896年に獄中で執筆した「社会民主党綱領草案と解説」(第二巻 P77~99)

☆1899年末に執筆した「わが党の綱領草案」(第四巻P244~270)

☆おそくとも1902年1月8(21)日に執筆した「ロシア社会民主労働党綱領作成のための資料」(第41巻 P8~11 )

☆1903年6月執筆の「われわれの鋼領草案にたいする批判への回答」(第六巻P460~461)

☆1903年7月31日(8月13日)のレーニンの演説(第六巻 ロシア社会民主労働党第二回大会 16 農業綱領審議にさいしての第一の演説)

☆1903年7月29日(8月11日)の「五 党綱領の総論部分」の審議にさいしてのレーニンの発言(第41巻 P67)

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是非、ご覧ください。