5-2 マルクス・エンゲルスの考えの紹介

このページの構成

〈最新ページの紹介〉

Ⅰ、マルクス・エンゲルスの大事な発見のポイント

Ⅱ、『資本論』を中心とするマルクス・エンゲルスの著作の抜粋

Ⅲ、「資本論」と大谷禎之介氏

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「温故知新」の「Ⅱ、マルクス・エンゲルスの考えの紹介」の四枚目のページの紹介。

Ⅰ、マルクス・エンゲルスの大事な発見のポイント

(その4)

マルクスとエンゲルスは未来社会の展望を示した

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マルクスとエンゲルスは未来社会がどのように実現されるかを明らかにした

☆マルクスとエンゲルスは、新しい共同社会の未来像を次のようにスケッチしました。

1、新しい共同社会は資本主義社会における資本と資本家の支配から労働者階級を中心とする勤労国民の社会の支配(制御)を通じて実現される。

2、この「生まれたばかりの共産主義社会」は〝必然性の国〟であるが、この社会の結合労働の発展と生産諸力の成長が、精神的労働と肉体的労働との対立をなくし、諸個人の全面的な発展を促進する。

3、その長い過程をへて、〝自由の国〟が実現される。

資本主義社会から〝自由の国〟への途

☆マルクスは『資本論』で、盲目的な力に支配されていた生産が計画的、意識的におこなう「自由」を獲得し、生産を共同的統制のもとに置くことができるようになる「社会主義社会」もまだ「必然性の国」であることを述べ、この国のかなたで、強制的な労働のない、自分の人間的な能力の発展のみを追求することのできる真の「自由の国」が始まるとの展望を示し、その「自由の国」は、「社会主義社会」という「必然の国」を基礎として、その上にのみ花開くことができるという。

「生まれたばかりの共産主義社会」から〝自由の国〟へ

☆マルクスとエンゲルスは、「生まれたばかりの共産主義社会」=「共産主義社会の第一段階の社会」=いわゆる「社会主義社会」を「民主主義」や「平等な権利」が残り、「労働が義務」で「死滅しつつある国家」のある「必然性の国」とみて、「発展した共産主義社会」=「共産主義社会のより高度の段階の社会」=いわゆる「共産主義社会」を「民主主義」や「平等な権利」という概念の不要な、「労働が生活にとってまっさきに必要なこと」となる「国家」のない「自由の国」と見ていました。

資本主義の発展は新たな社会の形成要素と古い社会の変革契機とを成熟させる

☆マルクスとエンゲルスは、資本主義の発展が「生産過程の物質的諸条件および社会的結合を成熟させるとともに、生産過程の資本主義的形態の矛盾と敵対関係とを(成熟させ──青山加筆)、したがってまた同時に新たな社会の形成要素と古い社会の変革契機とを成熟させる」ことを明らかにしました。

世界を見る

☆世界中が資本の論理で動くなかで、グローバル資本が世界を覆い、地球がますます小さくなり、無秩序が拡ろがり、経済成長と雇用、持続可能な生産と消費、平和、不平等、貧困、飢餓、保健・衛生、教育、ジェンダー、資源・エネルギー・気候変動、等々さまざまな問題が噴出しています。ダボス会議と国連の視線の先にあるものを見る。

日本を見る

☆「産業の空洞化」によって、高い生産性を獲得した富の源泉である製造業が海外に出て行った結果、生産性の低いサービス業の比重が増し、経済の低成長と低賃金が長期にわたって続き、その結果、年金・福祉・医療の基礎が掘り崩され、社会的分業の恩恵を受けることを前提に暮らしが成り立っている労働者階級の暮らしは年々厳しさを増し、結婚・出産・育児・教育という人間の再生産そのものが制約され、社会全体が脆弱なものになってしまった日本。それでも、言葉だけの成長戦略を言うだけの自民党が政権に居つづけられるのはなぜか。

資本の支配から人民の支配へ

☆資本主義的生産様式の社会を新しい生産様式の社会に変えるということは、資本の持つ権利を制度的に奪い去って、過去の労働の蓄積である富が「資本」として社会と経済を支配してきた機能を取り除き、富を社会の公共財として個人の支配から解放することです。それでは、その「公共財」を、誰がどのように、支配するのか。

 なお、この中で、「貨幣」についてのマルクスの考えについても見ています。

新しい生産様式の社会づくりの緒についたレーニン

☆新しい生産様式の社会──結合労働の生産様式の社会──では、「資本」に変わって何が生産を支配し、誰が社会を支配するのか。

Ⅰ、マルクス・エンゲルスの大事な発見のポイント

☆ページの紹介

(その1)マルクスとエンゲルスは人間の社会の発展法則を発見した

(その2)マルクスとエンゲルスは搾取の仕組みを明らかにし、資本主義の矛盾を明らかにした

(その3)マルクスとエンゲルスは科学的社会主義の任務とたたかいの方向を示した

(その4)マルクスとエンゲルスは未来社会の展望を示した

ページ(その1)の紹介

マルクスとエンゲルスは人間の社会の発展法則を発見した

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真理を求めるマルクスとエンゲルスの研究態度

☆マルクスとエンゲルスは、事実に立脚した考察、物事を変化・発展のなかで見ることによって唯物史観を発見し、私たちに科学的なものの見かた、科学的な社会の見かたを提供してくれました。

唯物史観の成立史の概略

☆マルクスが発見した唯物史観の成立史を、①仕事の序説、1844年『独仏年誌』への掲載、②1845年、『ドイツ・イデオロギー』での展開、③1847年、マルクス『哲学の貧困』で基本点を整えおえる、④1859年6月、マルクス『経済学批判』(序言)で唯物史観の定式化、と順を追って概括します。

唯物史観の内容

☆マルクスは『経済学批判』(序言)で「私にとって明らかとなった、そしてひとたび自分のものになってからは私の研究にとって導きの糸として役だった一般的結論は、簡単に次のように定式化することができる。」とのべて唯物史観を定式化します。是非、お読み下さい。

新しい共同社会は人民が築くもの、革命は人民がおこなうもの

☆マルクス・エンゲルス・レーニンは、マルクスの発見した〝唯物史観〟を導きの糸として、新しい共同社会の担い手について、そしてたたかい方について、そして、社会変革の運動の環の捉え方について、明らかにしてきました。是非、お読み下さい。

マルクスとエンゲルスの発見から学ぶこと

☆マルクスの、「どこでもいつでも政治的な状態や事件はそれに対応する経済状態によって説明されるという発見」の意味をもう一度よく吟味してみましょう。グローバル資本の身勝手な行動が日本の「産業の空洞化」を生み、日本の「産業の空洞化」が労資の力関係を変え、日本経済の停滞と貧富の格差を生み、国民の閉塞感を生んでいます。

 マルクスが発見し、そしてマルクス・エンゲルス・レーニンが「導きの糸」とした唯物史観は、グローバル資本の身勝手な行動が主導する資本主義によって今の日本の危機がもたらされていること、そして現在の資本主義はそれを乗り越えた新しい生産様式の社会をつくるためにその存在意義があること、その新しい社会をつくる担い手は労働者階級であること、そのことを私たちに教えています。

ページ(その2)の紹介

マルクスとエンゲルスは搾取の仕組みを明らかにし、資本主義の矛盾を明らかにした

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二つの偉大な発見によって、社会主義は科学になった

☆「この二つの偉大な発見、すなわち唯物史観と、剰余価値による資本主義的生産の秘密の暴露とは、われわれがマルクスに負うものである。これらの発見によって、社会主義は科学になった。いまさしあたって肝心なことは、この科学をそのあらゆる細目と関連とにわたってさらに仕上げていくことである。」(マルクス経済学事典、④-[54]317、エンゲルス『反デューリング論』)

 

マルクスは搾取の仕組みを解明した

☆マルクスは、資本主義的生産様式のもとでの商品の研究を通じて、商品の価値の源泉が人間労働であることを明らかにしましたが、その「価値総額」から「不変資本と可変資本」の額を引いて「生産手段の所有者」が「等価なしに取得する価値」が〝剰余価値〟です。

 労働者が〝剰余価値〟を生み出しているにもかかわらず、その「いっさいの内的関連の消し去られている(資本─利子、土地─地代、労働─労賃という──青山)三位一体」という──支配的諸階級の利益に一致する──定式によって、剰余価値を生み出すものが雇われて搾取されるという〝あべこべの外観〟が、何の不思議もない自然の姿のように私たちに提供されます。

 

マルクスは資本主義的生産様式の存立条件を明らかにした

☆資本は自己増殖できなければ、儲からなければ機能しません。「剰余価値の生産」こそが「資本主義的生産様式」のもとでの「生産の直接的目的および規定的動機」です。

 だから、〝拡大再生産〟が資本主義社会を発展させるための絶対条件で、大海を泳ぎ続けなければならないマグロのように拡大再生産をし続けることが資本主義的蓄積の存立条件となります。

 

マルクスとエンゲルスは、資本主義的生産様式の矛盾を明らかにした

☆マルクスのいう「基本的矛盾」は資本主義生産に内在する矛盾を明らかにし、エンゲルスのいう「根本矛盾」は、生産の社会的性格と取得の私的資本主義的形態との矛盾を明らかにしたが、これらの矛盾は資本主義を終わらせなければ解決しない資本主義的生産様式が抱える宿命的な矛盾です。

 

私たちは、今ある搾取の仕組みを明らかにし、資本主義の矛盾を明らかにしなければならない

☆「資本の儲け」と「社会的生産及び国民の生活」との矛盾の関連で、今、焦眉の問題は、グローバル資本による「産業の空洞化」です。グローバル資本は儲けのために富と雇用を海外に持ちだし、社会的生産を弱体化し、雇用を不安定にし、労働条件を悪化させ、社会保障の基盤を弱め、社会全体が衰退する方向に向かわせている。

 

最大の障害物はなにか

☆エンゲルスのいう「根本矛盾」を否定しマルクスのいう「基本的矛盾」だけにしか目がいかない。マルクスのいう「基本的矛盾」を「利潤第一主義」に置き換えて「賃金が上がれば、経済が良くなる」などと〝マルクスを歪曲〟。エンゲルスのいう「根本矛盾=社会と私的資本の矛盾」からくる「産業の空洞化」等の社会的課題を克服して〝経済は社会と国民のためにある〟という社会の建設の方向に目を向けない。そして、政党が議会で多数を取ることだけが民主主義ででもあるかのように〝民主主義を矮小化〟する人たち。科学的社会主義の獅子身中の虫たち。このページへのジャンプはここをクリックして下さい。

ページ(その3)の紹介

マルクスとエンゲルスは科学的社会主義の任務とたたかいの方向を示した

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科学的社会主義の思想は社会主義と労働者階級とを結合させた

☆マルクスは唯物史観を発見し、社会主義を理性的=道徳的な願望として見るのではなく、資本主義体制の客観的分析を通じて資本主義の矛盾を明らかにし、社会的生産を担う労働者階級こそが資本主義的生産様式の先にある社会的生産に見合う新しい生産様式の社会の作り手であり、担い手であることを、私たちに、教えてくれました。

科学的社会主義の思想は党に歴史を前進させる助産師の役割を与え、たたかい方を示した

①、科学的社会主義の思想を会得した前衛党の役割

☆科学的社会主義の思想を会得した前衛党の役割は、資本主義の矛盾を暴露し、少数者が多数者を支配するためのペテン・妄想を白日の下にさらして、労働者階級を勇気づけ歴史が前に進むのを助けることです。〝前衛党〟の役割は、〝国民の新しい共同社会〟をつくる助産婦になることです。

 

②、科学的社会主義の思想に基づくたたかい方

☆労働者階級の闘争の本当の成果である〝労働者のますます広がっていく団結〟を実現するために、〝労働者階級の終局的解放、すなわち賃金制度の最終的廃止なくして労働者階級の未来はない〟ことを労働者階級に理解させ、労働者に揺るぎない階級的自覚と一層のたたかうエネルギーを湧き上がらせることです。

科学的社会主義の思想は未来社会の展望と道筋を示した

①、新しい社会の形成要素と古い社会の変革契機

☆マルクスは、資本主義の発展は「生産過程の物質的諸条件および社会的結合を成熟させるとともに、生産過程の資本主義的形態の矛盾と敵対関係とを(成熟させ──青山加筆)、したがってまた同時に新たな社会の形成要素と古い社会の変革契機とを成熟させる」ことを明らかにしています。

 

②、新しい社会の発展の展望と道筋を示した

☆マルクスは、資本主義的生産様式の社会という資本独裁の社会を倒して生まれる労働者階級独裁の新しい生産様式の社会を「生まれたばかりの共産主義社会」または「共産主義社会の第一段階の社会」と呼び、それに続く社会を「発展した共産主義社会」または「共産主義社会のより高度の段階の社会」と呼んで区分しました。

 

③、新しい社会の人間の発展の展望を示した

☆「諸個人が分業に奴隷的に従属」した「精神的労働と肉体的労働との対立」のある「生まれたばかりの共産主義社会」を経て、「肉体的、精神的素質の完全で自由な育成と活動を保障するような生活を、社会的生産によってすべての社会の成員にたいして確保」される「共産主義社会のより高度の段階の社会」、マルクスとエンゲルスが「自由の国」「自由の王国」と呼んだ社会に到達することができる。

 

レーニンに引き継がれた未来社会へのバトン

☆このような未来社会の展望を引き継いだレーニンは、未来社会の基本的なあり方について、そして、そのような社会を作っていく労働者階級の成長の仕方について、ロシアで花開かせるための努力をしました。

Ⅱ、『資本論』を中心とするマルクス・エンゲルスの著作の抜粋

Aマルクス・エンゲルスと資本論

1、資本論について 2、マルクスの研究にとっての導きの糸 3、マルクスが新しくやったこと 4、マルクス・エンゲルスについて

Bものの見方、考え方

5、哲学 6、社会とは何か・史的唯物論

C資本主義社会Ⅰ

7、資本主義社会 8、近代(現代)の国家 9、資本主義社会での事物の認識

D資本主義社会Ⅱ

10、資本主義と自由な労働者 11、資本主義における富の源泉 12、賃金 13、資本主義的生産の内在的諸法則・資本の内在的衝動、資本の働き 14、競争と競いあい

E資本主義社会Ⅲ

15、経済の基礎理論 16、農業と17、小経営

F資本主義社会Ⅳ

18、世界市場 19、恐慌

G資本の歴史的使命

20、資本の歴史的任務と資本による資本の止揚 21、「桎梏」について

H闘争・団結・未来

22、闘争(労働運動)の意義 23、賃金奴隷(資本主義)の改善と革命 24、政治権力をにぎるための方法(平和的または強力による) 25、社会主義・共産主義(どんな社会か)

I日本関係

26、日本関係

J検討すべき課題ほか

27、市場と貨幣と商品の価値のとらえ方 28、そのほかの事項についての青山の考え 29、その他のマルクス・エンゲルスの小さなミス等 30、ことば 31、豆知識 32、人名                                                                      

Ⅲ、「資本論」と大谷禎之介氏

大谷禎之介氏の『マルクスの利子生み資本論』(全4巻)とマルクス・エンゲルスの『資本論』から学ぶこと

──『資本論』を読もう!!『資本論』をベースにグローバル資本主義(新自由主義)を暴露し克服しよう!!──