3-3-4A

科学的社会主義の党の選挙闘争について

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〈目次〉

Ⅰ、革命運動における科学的社会主義の党の役割

Ⅱ、国政を変えるための運動の組織のありかた 

Ⅲ、国政を変えるための運動の進め方

・政策の質と政権構想

・「終局目標」をつねに念頭におき……レーニンのことば

・現在の政治よりも1ミリでも良い政治を

・幾つかの基本的な政策のあり方について

 ①経済政策と税について

 ②戦争と平和について

 ③企業のあり方について

・日本の「民主主義」を問い、「民主主義」の仮面を引き剥がせ

Ⅳ、共産党が科学的社会主義の党たらんとするならば直ちに改めるべき選挙運動

・これまで見てきた大問題を脇に置いて

・〝前衛党〟の〝主要な基本的任務〟を放棄して、稚拙な選挙運動に没頭するな

・求められる〝共に闘う市民の共同の候補〟

(*)マルクスが人民革命と名づけたあらゆる革命

〈科学的社会主義の党の選挙闘争について〉

Ⅰ、革命運動における科学的社会主義の党の役割

 

革命運動における科学的社会主義の党の役割

資本主義的生産様式の社会を乗り越えてつくられる新しい生産様式の社会は、政治の場でも、生産の場でも、民主主義が息づいていなければ完成させることはできません。だから、資本主義的生産様式の社会を変える社会運動は、徹頭徹尾すべての国民が担い実現するものでなければなりません。(*1)

 科学的社会主義の党の任務は、〝資本の内在的法則〟を明らかにして、現在の資本主義社会が振りまく〝妄想〟をその妄想の空虚さが経験によってはじけるより前に明らかにすることによってそのような妄想を退け、労働者階級に〝妄想〟の災禍が及ぶのをたすけるとともに、資本主義的生産様式の社会から新しい生産様式の社会への発展の必然性と資本主義的生産様式の社会から新しい生産様式の社会への発展の〝要因〟と〝契機〟(*2)を明らかにして労働者階級に新しい生産様式の社会への展望を示し、労働者階級に自身の行動の条件と本性とを自覚させて社会変革のエネルギーを引き出し、その組織化を助けることです。つまり、科学的社会主義の党の任務・役割は、労働者階級を中心とする国民が資本主義的生産様式の社会の先にある社会を産みだすための助産師なのです。(*3)

(*1)詳しくは、ホームページ2-1「二一世紀は何処に向かって進んでいるのか」の各ページを、是非、参照して下さい。

(*2)詳しくは、『資本論』第一部第四篇「第一三章 機械と大工業」(大月版①P654)と『資本論』第三部第七篇「第五一章 分配関係と生産関係」(大月版⑤ P1129)を、是非、参照して下さい。

(*3)詳しくは、ホームページ3-3-6「〝前衛党〟は市民革命の助産師に徹しよう──科学的社会主義の党が輝くとき──」を、是非、参照して下さい。

Ⅱ、国政を変えるための運動の組織のありかた

 

国政を変えるための運動の組織のありかた

科学的社会主義の党の歴史的役割は市民革命の助産師なのですから、〝国政を変えるための運動の組織〟における科学的社会主義の党の役割もそれにふさわしいものでなければなりません。

 〝国政を変えるための運動の組織〟は、今ある日本の社会・経済の危機を打破するこころざしを持ったすべての国民が参加することを目標とするものでなくてはなりません。

 〝国政を変えるための運動の組織〟は、今ある日本の社会・経済の危機を打破するこころざしを持った人たちが結集する組織であっても、様々な考え・意見を内包する主体的な個人と団体の共同体ですから、その組織の内部の考え・意見の交流に当たっては有力な団体や個人の考え・意見を──講演とかパネルディスカッションとか称して──一方的に聞くのではなく、すべての参加者がフラットな人間関係のなかで自由に考え・意見を交流することによって個人や団体の認識を深化させて組織の質の向上を図ることを目標とするものでなくてはなりません。

 〝国政を変えるための運動の組織〟は、今ある日本の社会・経済の危機を打破する志しを持った多くの国民が参加する組織ですから、多彩な能力が集まり、参加者のフラットな人間関係のなかでの自由な交流によってそれらが明らかになり、能力の発掘が自然におこなわれ、国政選挙の候補者を含めたたかう態勢が整えられていきます。

 現在のように「共産党」が市民に支えられて国政選挙を戦うのではなく、国民と科学的社会主義の党が力を合わせて革命運動を推進していくのです。(*)

(*)より詳しくは、ホームページ3-3-5「党支部は、党を作り、草の根から民主主義を組織するよりどころ」の「党の基礎組織の役割」の③及びホームページ3-3-6「〝前衛党〟は市民革命の助産師に徹しよう」の「Ⅴ前衛党が輝くとき──市民と共に共同闘争の創出を」の③を、是非、参照して下さい。

Ⅲ、国政を変えるための運動の進め方

国政を変えるための運動の進め方について、テーマを、「政策の質と政権構想」、「「終局目標」をつねに念頭におき……レーニンのことば」、「現在の政治よりも1ミリでも良い政治を」、「幾つかの基本的な政策のあり方について」及び「日本の『民主主義』を問い、『民主主義』の仮面を引き剥がせ」と、五つに絞って見ていきます。

 

政策の質と政権構想

まず、国政をかえるための〝政策の質〟とはどのようなものでなければならないのか、一緒に見てみましょう。

 現在の政権党は資本主義的生産様式の社会を維持発展させることを目的としていますから、資本を大きくし支配階級を富ませることを目的とする政策と資本と支配階級の利益を擁護しつつ社会を維持するためのカッコ付きの「公共の福祉」を目的とする政策を、もっともらしい説明をつけて、行なっています。

 だから、政権党の資本を大きくし支配階級を富ませることを目的とする政策を徹底的に批判し、「公共の福祉」を目的とする政策に組み込まれた資本と支配階級の利益を擁護する内容を明らかにして、〝経済は社会のため、国民のためにある〟という新しい生産様式の社会につながるような政策を提起し、その政策が新しい生産様式の社会につながるものであることを国民にしっかりと説明し尽くさなければなりません。

 そのような政策を提起せず、「自民党政治を大本から変えるという大目標を背負っている。ただ、今度の選挙でそれを目指すのはちょっと早いですね」(「日経」共産党の志位和夫委員長の東京都三鷹市での街頭演説)などと言って資本主義を暴露することを放棄したり、そうかと思うと今度は、国民が〝政権交代〟を意識してもいないのに「政権交代!政権交代!!」と「政権交代」だけを叫ぶなど愚の骨頂のやることで、オウンゴールなら〝誤っての失点〟ですが、許されるものではありません。「政権交代」が単独のスローガンになりうるのは、国民が〝政権交代〟を意識した時だけです。具体的な未来図も示さずに「政権交代」を声高に叫んでも、国民はポカンと口を開けて〝はてな(?)〟と思って見るだけです。国民が「政権交代」を意識している場合を除き、「政権交代」だけの〝空文句〟は国民をしらけさせるだけで、いくら「政権交代!政権交代!!」と「政権交代」だけを絶叫しても、政権交代などできず、自・公の思うつぼです。

 

「終局目標」をつねに念頭におき……レーニンのことば

レーニンは、「終局目標」をつねに念頭において、政策と運動が新しい生産様式の社会のあり方につながるものでなければならないことを正しい運動と政策の基準にしています。参考に、1901年6月(レーニンが31歳のとき)に執筆した「ゼムストヴォの迫害者たちと自由主義のハンニバルたち」を掲載します。

「………ゼムストヴォと政治的自由との関係の問題は、改良と革命の関係についての一般的問題の特殊な場合である。そしてわれわれは、この特殊の場合において、流行のベルンシュタイン理論の狭さと愚劣さをあますところなく見ることができる。この理論は、革命的闘争を改良のための闘争でおき換え、(たとえば、ベルヂャーエフ氏の口を借りて)「進歩の原理は、良くなればなるほどそれだけ良い、ということである」と宣言している。一般的形態においては、この原理はその反対の原理──悪くなればなるほどそれだけ良い──と同じようにまちがっている。もちろん、革命家はけっして改良のための闘争を拒否しないだろうし、たとえ重要でない、部分的な敵の陣地であっても、もしその陣地が革命家の攻撃をつよめ、完全な勝利を容易にするなら、それを占領することを拒否しないだろう。だが、彼らはまた、敵自身が、攻撃者を分裂させていっそうたやすく粉砕するために、一定の陣地をゆずりわたすばあいもしばしばあることを、けっしてわすれないであろう。彼らは、「終局目標」をつねに念頭におき、「運動」の一歩一歩と改良の一つ一つを全般的な革命闘争の見地から評価してはじめて、運動が誤った歩みを取ったり、恥ずべき誤謬に陥らないように保障することができるということをけっしてわすれないであろう。」(第五巻、注)色付きの文字は青山

日本共産党が元気で輝いていたときの〝日本共産党綱領〟は、当面のたたかいにおいても「独占資本主義の段階にあるわが国」では経済の自主的平和的発展のためには独占資本にたいする人民的統制が必要であることを明記し、〝民主主義革命〟と〝社会主義革命〟とはシームレスにつながっており民主主義革命から社会主義革命へと「連続的にに発展する必然性をもっている」ことを明確に述べていました。しかし、残念ながら、現在のカッコ付きの「共産党」は2004年の党大会での不破さんの「綱領」の改変によって、民主主義革命から社会主義革命への「連続的に発展する必然性」は削除され、「社会的バリケード」を築いて資本から国民をまもり、より良い資本主義をつくるという改良主義に転落して、「良くなればなるほどそれだけ良い」というこころざしのない政党になってしまいました。現在の「共産党」が労働者階級の闘うエネルギーを引き出せず、元気の出ない根源はここにあります。(*)

(*)「2004年綱領」についての詳しい説明は、ホームページ3-3-1「『2004年綱領』にみる不破哲三氏の転落の証明」及びホームページ3-3-9「不破さんと志位さんの「共産党100年」史──科学的社会主義の大地に「資本主義発展論」の種を蒔く──」を、是非、参照して下さい。

 

現在の政治よりも1ミリでも良い政治を

科学的社会主義の思想の持ち主たちは、選挙でどんな行動を取らなければならないのか、一緒に考えてみましょう。

 科学的社会主義の思想の持ち主たちは、現在ある資本主義の矛盾を暴露し、その矛盾の克服のための方策を提起し、資本主義的生産様式の社会を一刻も早く終わらせるために力を尽くさなければなりません。同時に、選挙に当たっては、国民の生活と権利を守るために、それぞれの選挙区で〝より悪い候補〟を落とし、〝より良い候補〟を当選させるために、それぞれの候補者の階級性を明らかにして、〝より良い候補〟の当選のために尽力することが重要です。

 それぞれの候補者の階級性を明らかにしてたたかうことは、科学的社会主義の思想の階級性を明らかすることです。だから、それは、〝革命的闘争を改良のための闘争でおき換える〟ことなどではまったくありません。現在の政治よりも1ミリでも良い政治のために科学的社会主義の党は大志を持って、現在の政治よりも1ミリでも良い政治を作るために、全力を尽くさなければなりません。

 

幾つかの基本的な政策のあり方について

①経済政策と税について

経済政策については〝資本〟の行動に、税については労働者階級の資本主義社会における富の分配上の地位に着目して考察しなければなりません。(*)

(*)詳しくは、ホームページ3-3-3B「科学的社会主義の党の選挙政策」を、是非、参照して下さい。

②戦争と平和について

自衛隊について「違憲」「違憲」と建て前だけを叫びたてるのではなく、自衛隊が明確に憲法「第9条」に違反しており、「第21条」と相容れない存在であることを具体的に徹底的に暴露するとともに、いま行なおうとしている軍拡の非合理性を明らかにし、「東アジアに平和をつくる『外交ビジョン』を提唱」する前にいまマスコミを総動員して対立と危機を煽っている問題の解決方向を明確に示して、国民の理解をえることこそ重要です。

※詳しくは、ホームページ6-2-2「自衛隊と憲法についての論点整理」およびホームページ6-2-4「ウクライナの平和への道と北東アジアの平和の維持のためのイニシアティブ」を、参照して下さい。

③企業のあり方について

日本は、グローバル資本による富と雇用の海外への持ち出しによって、「産業の空洞化」→「GDPと生産性の停滞」→「労働運動の弱体化及び実質賃金の低下と雇用の不安定化」→「年金・医療等社会保障機能の脆弱化」→「人口減少等」で、国民の暮らしと日本の社会・経済は深刻な危機に際会しています。

 この日本の社会・経済の構造的な危機を克服するためには、まず第一に、政治の力によって「グローバル資本」の行動をコントロールし、資本主義的生産様式のもとでの「企業」のあり方を変えることが必要です。しかし、これは外科的な手術のようなもので、〝経済は社会のため、国民のためにある〟という社会に向かうためには、社会の公器としての役割と責任の自覚が企業には求められており、企業が自覚的な「社会の公共財」へと進化・発展する必要があります。

 そのためには、資本主義的生産様式のもとで企業に法的に与えられた資本の力を法的に無力にし、企業の株主と経営陣による支配から労働者の経営参加を含む企業統治の方法への変革によって企業を「社会の公器」へと脱皮・発展させる必要があり、そのための法整備が求められます。民主主義を社会の全分野に行き渡らせ、企業を国民が管理しなければ新しい共同生産様式の社会は実現しません。そのための革命は、議会で行なわれるのではありません。労働者階級のいるところ、国民のいるところで行なわれるのです。そのような認識を国民・労働者がもつように労働者階級が意識を変え、意識を高めるために科学的社会主義の思想の持ち主と科学的社会主義の党はあらゆる機会に情報発信をおこない続けなければなりません。民主主義を社会の全分野に行き渡らせるためにその先頭に立たなければなりません。

 

日本の「民主主義」を問い、「民主主義」の仮面を引き剥がせ

いわゆる「西側陣営」は自分たちを「民主主義国家」と呼んでいますが、米国や日本を見ても、その「民主政治」は〝ウソ〟と〝金権〟と〝いかさまの選挙制度〟に基づくカッコ付きの「民主主義」の基で行なわれています。

 〝ウソ〟の源は、資本家(資産家)と資本の富の増大と労働者の富の増大とは相対立しているにもかかわらず、あたかも企業が大きくなれば資本家と資本とともに労働者の富も同じように増えるかのようなウソ、労働者が富を生みだすのに富は資本と土地と労働によって生み出されるかのようなウソ、そして資本主義を支える自由な契約と競争によって社会は最も合理的に運営されるかのような大〝ウソ〟にあります。

 資本主義社会を担う二つの階級、少数の資本家階級と多数の労働者階級が存在する社会で、少数の資本家階級が資本主義社会を維持するためには、少数が多数を騙して「多数」になるしか手はありません。だから、資本主義社会の「民主政治」は〝ウソ〟と〝金権〟と〝いかさまの選挙制度〟に基づかざるを得ないのです。

 このような「民主主義」の上に成り立つ自民党政権は、国権の最高機関である国会の解散権さえ「首相の専権事項」などと言って自分たちの都合のいい時を見計らって行使し、多くの国民が〝納得できない〟ということを強行して、公文章さえ無いものにしてしまいます。このような、国民を騙すための、エセ「民主主義」と専制との芸術的な合体物を〝民主主義〟などと言わせてはなりません。

 選挙の時こそ、このような資本主義社会が宿命的にもつエセ「民主主義」の姿をその時々の課題とリンクさせて徹底的に暴露することが必要であり、その絶好の機会なのです。

Ⅳ、共産党が科学的社会主義の党たらんとするならば直ちに改めるべき選挙運動

 

これまで見てきた大問題を脇に置いて

これまで見てきたことは、科学的社会主義の党として行うべき選挙闘争におけるイロハともいうべきものです。

 しかし、残念ながら今の「共産党」にこれらのすべてを求めても叶わぬ夢です。なぜなら、科学的社会主義の思想は、労働者階級を中心とする勤労国民が主体的に政治・経済・社会を担うことをその根本に置いており、そのことなしに資本主義に変わる新しい生産様式の社会など実現できませんが、今の日本においては、政治闘争の決着が──国会での「政党」間の闘争を経て──議会においてつけられという現代の「議会制民主主義」のもと、〝新しい社会の主役〟となるべき労働者階級を中心とする勤労国民が「共産党」の後援会員になるという〝本末転倒〟のもとで「共産党」の国会議員が生み出され、その本末転倒の議員が「労働者階級を中心とする勤労国民」を代表して国会での「政党」間の闘争が行なわれるという、擬似的な階級闘争がおこなわれています。

 「共産党」は、「党」が革命運動と新しい生産様式の社会の主役と考えているのか、このような現状に何の疑問も持っていません。その結果、科学的社会主義の党として行うべき選挙闘争におけるイロハに気付くことができず、「党」の選挙運動に〝大問題〟があることにまったく気付くことができません。だから、残念ながら、このような大問題を脇に置いて、次の国政選挙に向けて最小限必要なこと、そして、この〝大問題〟を解決するための糸口となることだけを述べるに留めたいと思います。

 

〝前衛党〟の〝主要な基本的任務〟を放棄して、稚拙な選挙運動に没頭するな

〝前衛党〟の〝主要な基本的任務〟は、レーニンも言うように、「労働者階級の政治的発展と政治的組織化」を援助することです。

 そのためには、まず、現在の日本経済の行き詰まりはこれまでの資本の行動とその結果として起きていること、そして、資本の行動を規制しなければ解決への途などないことを明らかにすることです。このことを脇に置いて、「大軍拡に反対」を叫んでいるだけでは労働者階級の闘うエネルギーを発揮させることはできません。(*)日本社会を閉塞感で満たしている真の原因を明らかにし、「大軍拡」についてもこれらとの関連を含め多面的に明らかにすることが求められています。

(*)「共産党」の「大軍拡政治にストップ!」という『赤旗』号外等についての説明は、ホームページ6-2-4「ウクライナの平和への道と北東アジアの平和の維持のためのイニシアティブ」を、是非、参照して下さい。

 つぎに必要なのは、このような資本の行動とその使用人である自・公の政府の真の姿をより多くの人に知ってもらい、彼らに対する怒りと資本の行動をコントロールすることへの共感を拡げ、〝労働者階級の政治的発展と政治的組織化〟を積極的に促進することです。

 米国の選挙運動について、メディアを使っての宣伝合戦と大規模集会という派手な〝金権選挙運動〟が比較的よく報じられていますが、忘れてならないのは、徹底した戸別訪問によって政策を訴えることが米国の選挙運動の基本にあるということです。日本ではそれに変わるものとして、以前は、共産党の得意業である「政策」ビラの全戸配布がありました。しかし、その「共産党」も今では「政策」ビラの全戸配布など選挙期間中でさえまともに行わず、選挙のときに、電話で、ほんのわずかの時間、猫撫で声で美味しい話しをして、相手の「はい、分かりました」という言葉に満足している始末です。

 〝労働者階級の政治的発展と政治的組織化〟を図るという目的意識も持たず、日常的な「政策」ビラの全戸配布もしない。地道な活動はそっちのけで、ターミナル駅等に党員を集めて、「党」の幹部が落下傘で降りてきたような候補と一緒に演説をして、選挙戦をたたかったような気になっている。ターミナル駅等に党員が集まってウラーと叫ぶだけ。これでは、資本主義社会でマスコミが振りまくニセ「情報」の嵐と闘って、勝てるわけがありません。選挙のある無しにかかわらず、今の社会の矛盾を暴露し、その抜本的な解決策を全国津々浦々に日常的に伝えることをせずに、「多数者革命」などと〝革命〟の本当の意味もわからず言って、国会で多数を取ろうとするなど論外です。

※詳しくは、ホームページ3-3「共産党よ元気をとりもどせ。」の各ページを、是非、参照して下さい。

 

求められる〝共に闘う市民の共同の候補〟

現在、残念ながら、「国政を変えるための運動の組織のありかた」に示した様な組織は存在しません。しかし、労働者階級を中心とする勤労国民が〝主役〟となる新しい社会を創っていくためには先に示したような組織が国政を変える役割を担っていくことが必須の条件です。

 上記のような組織づくりにつながる、〝共に闘う市民の共同の候補〟を生み出すにはどうすればよいのか。日本共産党には過去(1970年代)に〝共に闘う市民の共同の候補〟とでもいうべき候補者を支援し、国会では〝日本共産党・革新共同〟という会派でたたかい、一定程度、国民に開かれた新鮮なイメージを与えた時期がありました。しかし、このような取り組みがあったにもかかわらず、残念ながら、当時も、マルクスが〝人民革命〟と名づけた革命(*)を担うためにはその資格を持った〝人民の議員〟を生み出すことが必要で、そのための組織づくりをしなければならないとの認識はありませんでした。今、あらためて、現状をふまえて、この〝人民の議員〟に近い議員を産み出すために共産党が尽力すべきことを見てみましょう。

 ただちに実行できることは、「革新懇」の役割の再評価です。「革新懇」を参加者が主体的に意見を交流する〝広場〟とし、団体・個人の区別なく〝経済は社会のため、国民のためにある〟と考える者すべての参加を促し、地域から地域を変え日本を変える運動のセンターの役割を担えるような組織に発展させ、そのなかで試され済みの最もふさわしい人たちを〝人民の議員〟に最も近い人たちとして国政等に送り出す。そのような努力を「共産党」が率先して行ない、真の共産党への途を歩むことです。

 これらと並行して同時に行うべきことは、〝経済は社会のため、国民のためにある〟と考える者を総結集させるために、最大限の努力を行うことです。〝経済は社会のため、国民のためにある〟と考える人たちは、「共産党」の周りにだけいるのではありません。新社会党、社民党、れいわ新選組、立憲民主党、等々の関係者やその周辺にいる人たちとの交流を深める努力を惜しんではなりません。〝経済は社会のため、国民のためにある〟と考える者を総結集させなければ、マルクスが〝人民革命〟と名づけた革命など実現しません。しかし、相対立する労働組合の和解の一歩として統一行動のための労をとろうと仲介する人がいても、客観的には労働者の利益を守ることなどそっちのけで、相手の非を挙げて応じようとしない残念な人たちさえいます。今こそ、〝経済は社会のため、国民のためにある〟と考える人たちが大同団結するために最大限の努力をすべき大切な時なのです。

 最後に、このページを結ぶに当たって、私たちの目標とする〝人民革命〟について、レーニンが述べた文章がありますので掲載します。

 

マルクスが人民革命と名づけたあらゆる革命

「わが国の革命がおこなっていることが偶然ではなく──われわれは、それが偶然ではないことを、深く確信しているが──、またわが党の決定の産物でもなくて、マルクスが人民革命と名づけたあらゆる革命、すなわち、人民大衆が、古いブルジョア共和国の綱領を繰りかえすことによってではなく、彼ら自身のスローガンにより、彼ら自身の奮闘によって、みずからおこなうあらゆる革命の不可避的な産物であるなら、もしわれわれがこのように問題を提出するなら、われわれはもっとも重要なものをなしとげることができるであろう」(レーニン全集第27巻P135『ロシア共産党(ボ)第七回大会』1918年3月8日)

2022/07/09以前に引用した文章には、誤って、(レーニン全集第27巻P138)と表記してあるものがあります。要注意!!