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国際社会とどう向き合うか

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国際社会とどう向き合うか

 

国際社会との向き合い方が問われている

グローバル資本、余剰マネー、富裕層が無秩序な世界経済を利用して傍若無人にふるまい、環境を破壊し、資源を浪費して、富をむさぼっています。そして、2019年12月初旬に中国の武漢市で第1例目の感染者が報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、資本主義的な世界体制の不平等と限界を明らかにしました。

 私たちは、グローバル資本の横暴を押さえ、かれらへの富の集中をやめさせ、世界人民の国民福祉の増進のために、何をしなければならないのか。そのことが、今、問われています。

 

貧しさと不平等を保つ〝枷〟としての知的財産の役割

「COVID-19」が明らかにしたのは、人類の生存の危機をも省みない資本主義社会の強欲さでした。世界全体で「SARS-CoV-2」を制圧しなければ感染症は征服できません。しかし、製薬資本とその国家はワクチン製造を独占して貧しい国々への供給を困難にして、世界全体での「SARS-CoV-2」の制圧を妨げています。

 資本は、高い技術やノーハウを持たない国々では、低賃金での労働者の雇用とともに「知的財産権」なる「権利」にもとづく搾取がおこなわれます。

 芸術作品等の贋作防止はともかく、人間の生活を遍く豊かにする上で必要なものや、いわんや、人間の生き死にに係わるものの製造に関して、「知的財産権」なる「権利」を主張して暴利をむさぼるなど、許されるべきものではありません。しかし、残念ながら、「COVID-19」の蔓延にもかかわらず、強欲な資本主義社会は製薬資本の「知的財産権」なる「権利」を守り抜きました。

 「知的財産権」なる「権利」は、富を発展の遅れた国から先進資本主義国の企業に移転し、発展の遅れた国の貧しさを保ち先進資本主義国との不平等を保つ〝枷〟の役割をもつ悪魔の〝権利〟です。だから、発展の遅れた国での労働者の労働条件の改善とともに、この悪魔の〝権利〟の打破を、私たちが国際社会と向き合う上での大切な観点としなければなりません。

 

各国人民が国民国家としての権利の行使を!!

このような資本主義が支配する国際社会と私たちはどう向き合わなければならないのか。

 それには、まず、各国人民が国民国家としての権利を行使し、みずから、自国一国であっても、彼ら(グローバル資本)の横暴を打破するために力を尽くことの必要性を訴え、そのような国づくりを進めることです。そして同時に、これらの権利を行使するうえでの障害を除去するために、国際ルールの変更を世界に認めさせる(標準化する)努力を積極的に行なうことです。

 「国際ルールの確立」をまって「大企業の民主的規制」をするのでは、国民に依拠する国家としての当然の権利を放棄することとなり、その間のかれらの悪行を指をくわえて見逃すことになります。だから、残念ながら、日本共産党が言う「国際ルールの確立」によって「大企業の民主的規制」を行うという考えは、主体性のない、他力本願の、逆さまの議論です。これでは、国民のエネルギーを引き出すことなどできません。

 

行うべきことの例示

このような観点から、グローバル資本等から国民国家と国民を守るために、ただちに行なうべきことの大雑把な例示をし、どのような観点が必要なのかを見てみましょう。

 

インターナショナルな視点での日本の変革

国民国家を疲弊させ、産業の空洞化をもたらす富と雇用の持ち出しを規制し、空洞化を止め、日本経済の再生を図り、合理的な国際分業を推進する。

海外での安い労働力の利用を規制し、海外の労働者の労働条件の改善し、海外との賃金格差の解消を図る。海外との賃金格差の解消が進まない場合の海外での安い労働力の利用による特別利益に対して、それに見合う課税制度を創設する。

日本より法人税率の低い国との税率の差による特別な利益に対して、それに見合う課税制度を創設する。

「知財権」については、科学技術の進歩が人類全体の財産として共有され、人類全体の幸福を増進させるための道具となるよう、文化・芸術的なものを除きを何十年も企業の利益を保証するための道具とすることをやめ、一時的な利益をもたらす「特別利潤」とするよう、世界に働きかける。

お金の流れの徹底した透明化と海外での資産隠しの厳罰化、そのための税務調査権の強化を図る。

海外での投機を禁止する。

★これらを踏まえた、国民国家の安定性と資金の流れの透明性を保障する国際的ルールづくりのためのイニシアティブを発揮する。

 

余剰マネーによる市場の攪乱への対応

実需を基礎にしない取引を規制し、取引を実需を前提としたものに限定する。

金融商品の透明性を確保する。

★これらを踏まえて、金融商品の透明性の確保と取引の実需を前提としたものに限定する国際的ルールの実現のためのイニシアティブを発揮する。

 なお、「金融取引税」については、国際的な金融取引回数を抑制することと、消費税のように税収増を図ることを目的とするものであり、余剰マネーの動きを根本から抑えるものではなく、「金融取引税」を唯一の対策のように述べるのはまったくの誤りである。

 

国民の富を搾取・収奪した富裕層の富のもちだし、税逃れに対する対応

海外に富をもちだして稼いだ海外の富の税金逃れを規制する

海外に住所を移している場合、生活費を超える海外への富の持ち出しに対し特別の税を徴収する

★これらを踏まえて、各国が税務調査への全面協力をするなど、国際的ルールづくりのためのイニシアティブを発揮する。

 

このように対策を具体的に示し、国際社会と資本主義国家の関係を明らかにする

これらを通じて、資本主義諸国が「タックスヘイブン」をなくすことや、グローバル資本の「移転価格操作」の根を断つことに真剣に取り組んでいないこと、国家が金融資本の利益を国民の利益に優先させていること等を明らかにし、何が問題なのかを国民に明確に示し、国際社会全体の福祉にとって資本主義諸国と資本主義的生産様式がいかに有害な役割を果たしているかを暴露しなければなりません。