3-3-3

民主主義を貫く党運営と闊達な議論の場の設定を!!

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民主主義を貫く党運営と闊達な議論の場の設定を

 

科学的社会主義の党の組織運営のあり方を考える

生産手段の「全人民の民主主義的管理を組織することを通じて社会主義を組織すること」──生産手段の社会化された社会──を未来社会の展望として示し、その実現をめざす党にとって、その組織の運営のあり方は、党の内・外にとって──党内においては、科学的社会主義の党としての正しい組織の運営とモラール・活力の源として、党外の人びとにとっては、その党の質と正しさとを評価・判断するうえで──死活的に重要です。

 日本の未来を拓く助産師の役割を立派に果たして欲しいと期待しながら、その期待に応えることがなかなかできない現在の日本共産党は、どのように意見の集約をして党の進路を決めているのか、また、どのように党の機関の構成メンバーや党の顔を決めているのか、その組織運営のあり方を一緒に見て、新しい生産様式の社会を築く運動をリードする党の組織運営のあり方はどうあるべきかを、一緒に考えていきましょう。

1、闊達な議論の場を設定し、意見の民主的な集約を保障する

党員の意見を反映するための立派な規定

日本共産党の「規約」第五条には、党員の権利として「党の会議で、党の政策、方針について討論し、提案すること」、「中央委員会にいたるどの機関にたいしても、質問し、意見を述べ、回答をもとめること」ができる旨の規定があり、第一五条では、「出された意見や提起されている問題、党員からの訴えなどは、すみやかに処理する。党員と党組織は、党の政策・方針について党内で討論し、意見を党機関に反映する」旨の、立派な、諸規定があります。

立派な規定を「絵に書いた餅」に変える組織の組成と運営

これらの立派な諸規定が実現されるような組織の組成がされているのか、また、これらの立派な諸規定が実現されるような組織の運営がなされているのか、見てみましょう。

 まず「党」には「支部」という基礎となる組織がありますが、これらの「支部」は一つ一つがたこつぼ型の閉鎖的な組織になっています。そして、「補助的な指導機関」がもうけられた支部を除き、その閉鎖性を補うための、党員や各支部の意見が他の党員や支部へ広く伝わるような仕組みはありません。その結果、多様な意見が他の党員や支部へ伝わらず、豊かな議論に欠け、少数意見が多数意見に転化する可能性も極めて低くなります。

 そのような状況の下で、「規約」第五条に基づいて各級機関に党の政策・方針についての提案や意見を述べても、第一五条に前記のような規定があるにもかかわらず、それについての回答は、来たことがないのが通例であり、万一回答が来たとしても、それは当事者である党員や支部と関係機関との一対一の対応関係になっており、他の党員は知る由もありません。

党の全国方針と異なる意見の表明の禁止

このような組織のありようのもとで、党の方針と異なる意見の表明について、「国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国方針に反する意見を、勝手に発表すること」が禁止され(第一七条)ています。

 このように、党として、日常的にみんなで一緒に認識するための機能がまったく欠落している条件のもとでは、定例の地区党会議以上の機関の会議で、限られた時間の中で、中央委員会の方針と異なる意見を述べた場合、十分な議論を尽くせば多数となるような考えであっても、多数意見となる蓋然性はきわめて低いと言わざるを得ません。そういう意味で、現在の日本共産党には、残念ながら、「民主的な議論をつくす」前提条件が欠けているといっても過言ではありません。

これらの結果がもたらすもの

そのために、このような条件のもとでは、正しい認識が「党」内に反映されず、正しい少数意見が多数意見に転化することなく、誤った認識に基づく誤った指導部の方針のために「党」の行動が情勢に合わず、衰退する可能性があります。そして、残念ながら、その恐れが、現実のものとなってしまったのが現在の「共産党」です。

 グローバル資本による富と雇用を海外に持ち去る行動によって日本経済と国民生活は根本から弱体化し、現在の日本は存亡の危機にあるにもかかわらず、『赤旗』や『前衛』に自らの言動や著作を自由に掲載させ宣伝させることのできる「共産党」の大御所の不破さんは、これらのことなどまったく眼中になく、「賃金が上がれば経済は成長する」、「社会的バリケードで国民生活を守る」などと言って、労働者・国民が日本の危機の本当の原因に目を向けるのを妨げ、労働者・国民の資本主義の矛盾とたたかうエネルギーを押さえ込み、資本主義を「改善」すればその先に豊かな未来があるかのような〝説教〟を行ない、沖縄に行けば、「安保条約に基づいて通告すれば条約は破棄できる、これが伝家の宝刀だ」などと、沖縄の現状をまったく理解しない、ノー天気なことを言い、それらの言動や著作の宣伝を『赤旗』に行なわせています。

 党史についても、不破さんは、「革命論についてのレーニンの誤解については、1960年代に中国の毛沢東一派との闘争のなかで、レーニンの誤解をただし、多数者革命論にこそマルクスの理論的到達点があることを明らかにしました」と、『赤旗』を使って──『4.29』論文を読んだ人なら誰でもわかる──真っ赤なウソをついて、日本共産党の毛沢東一派との輝かしい理論闘争の歴史を傷つけ、共産党のたたかいの歴史を「捏造」しますが、もちろん、誰も『赤旗』や『前衛』で何も言うことができません。

 このように、大御所の、エセ「科学的社会主義」者の不破さんの誤った考えが洪水のように『赤旗』や『前衛』や『経済』で流されて、その誤った考えに基づいて「党」の活動方針が決められ、それを内部から訂正する手立がないとしたら、日本「共産党」は衰退せざるを得ません。

※沖縄での不破さんの発言については、ホームページ6-2-1「那覇市での不破さんの講演に欠けているもの」を、不破さんの共産党のたたかいの歴史の「捏造」については、ホームページAZ-2-3「『資本論』刊行150年にかこつけてマルクスを否定する不破哲三氏(その3)」を、是非、お読み下さい。

本当の〝民主主義社会〟をつくる科学的社会主義の党の死活問題

科学的社会主義の党は、新しい生産様式の社会をつくる助産師です。新しい生産様式の社会は、「資本」のつくられた魔力が排除された、政治も経済も労働者階級を中心とする民主的に組織された国民の意志によって運営される社会です。社会を民主的に組織するためには、そのなかに真実(正しさを認める共通認識)と連帯(目標に向かっての協働意識)がなければなりません。この〝真実と連帯〟を労働者階級を中心とする国民が獲得するのをお手伝いするのが科学的社会主義の党の役割です。そして、科学的社会主義の党も〝真実と連帯〟によって成り立つことができ、社会的な役割を果たすことができます。

 だから、正しい認識が反映され、協働すべき共通目標をもった科学的社会主義の党としての活力を得るためには、党内で闊達な議論がおこなわれ、民主的な議論を通じて、党中央の考えと異なる考えも多数意見となる可能性が保障されていなければなりません。

 そのために、現在の「共産党」が科学的社会主義の党、正真正銘の〝共産党〟となるためには、つぎのような改革が必須条件です。

党内に、異なる考えを表明できる、党員に開かれた〝広場〟を保障すること

弾圧の口実を与えるような意見を除き、中央と異なる考えを自由に表明する権利・自由 を保障すること

 なお、関連して、ホームページ5-3「レーニンの大切な考え」の後半部分、「レーニンが生きた時代の特殊性から学ぶ」以降も、是非、お読み下さい。お役に立つと思います。

2、機関の構成と公職選挙の候補者の選考に党員の声を反映させる

現在の「共産党」の執行役員等の選出方法

「党」の各級(地区、県、中央)の機関は、それぞれの各級の大会(会議)に於いて、各級の大会のために選ばれた代議員によって、それぞれの機関の(執行)委員会を構成する委員が選任されます。委員長等の役員は、その選任された委員の中から互選される仕組みになっています。

 各級の委員会の委員の候補者は、それぞれの大会(会議)の中ではじめて明らかにされ、それぞれの会議で即決されます。各級機関の運営に責任を持つ委員長や執行役員等は、代議員が各級の委員会の委員を選任した段階では誰になるかは不明で、大会(会議)に参加しなかった一般党員はもちろん、それぞれの会議に参加した代議員でさえ知るよしもありません。

 新たに執行機関を構成する人たちの顔ぶれを、会議に参加した者だけが、その場で、はじめて知り、その場で判断して選出する。こうして選ばれた人たちが、初めて顔を合わせた人を含め、第1回目の委員会を開き、委員長や執行役員等の重要な役職の人事を、これまた即決する。誠に信頼感に満ちた、不思議な、不透明で非民主的な決定方法です。

党員が十分納得し、信頼関係が醸成される執行機関の構成を

このような方法は、絶対に、改める必要があります。

 戦前の非合法時代の名残かどうかわかりませんが、今は、拙速に、とにかく指導部を決めなければならないというような時代状況ではありません。

 執行機関の構成にあたっては、科学的社会主義の党として、労働者階級の党にふさわしい階級構成に常に留意し、役員を留任する場合でも、新任の場合でも、当該人物の、その根拠、実績を明らかにし、どのような任務を執行するのかを前もって明らかにし、それらの案について、党員から意見を聴取するための期間を一定程度もうける等、党員が十分納得し、信頼関係が醸成され、深まるものでなければなりません。

 或る一部の者が、生殺与奪の権を持つことができるような制度では、絶対に、いけません。

革命運動の助産師としての議会への関与

公職選挙候補者の選考についても、政策能力が試されることなく、党員の間での評価がなされる余地もなく、決定されることが常態化しています。

 これは、いわゆる「人民的議会主義」に基づいた、科学的社会主義の党らしい、真の運動が作られていないことの結果です。運動と結びついた政策集団が形成されていない結果です。労働者階級の党として、国民の党として、運動に軸足をおいた党ではなく、目先の「党勢拡大」と「議席拡大」に目を奪われて科学的社会主義の党としての本当の運動を忘れてしまっているために、国民と結びついた運動の〝観点〟も〝芽〟も摘み取られてしまっています。科学的社会主義の党らしい運動を通じて、様々な分野で、秀でた知識・能力をもった人たちを輩出させ、これらの運動と結びついた人たちを議会に送り出さなければなりません。

 今、そうなっていないならば、地方議員が中心となって〝意識的な市民〟──思想的に右でも左でもかまいません──と溶け合う努力をおこない、党員の中にまだまだ生き残っている様々な分野で秀でた知識・能力をもった党員を市民運動に参加させ、その力を生かし、本当に国民と結びついた運動の〝芽〟と〝観点〟を育てていく以外に道はありません。地域でまったく活動──『赤旗』の配達やビラ配りのことではない──したことのない教員や公務員の退職者を、安易に、地方議員にするなど根本的に誤っています。

草の根から〝国民共同〟の運動の組織を!!

現在の日本の経済・政治状況を考えるとき、〝前衛党〟として、労働者階級の党として、国民の党として、運動に軸足をおいた党として、職場・地域から、国民とともに〝日本をよくするための国民共同の会〟(革新懇の解体・改組でもかまいません)を生み、育て、運動を通じて、その中から立派な公職選挙の候補をも輩出することが、喫緊の課題とも言えます。現在の「共産党」の選挙闘争を、「by the people」の観点から抜本的に見直し、その欠落している部分を埋め、日本共産党が、ほんとうの科学的社会主義の党に立ちかえることが、今、求められています。

 道を照らし、国民の運動を後押しする〝前衛党〟を国民が「後援」するというのはおかしな話ですが、選挙のたびに、「共産党」の「後援会」なのに、党員以外の「後援会」員がほとんどいない「後援会」が「後援会」として堂々と立派に活動しています。科学的社会主義の立場から言えば、いまある「共産党」の「後援会」は、宗旨変えをして、〝日本をよくするための国民共同の会〟等に名称に変更して、市民とのその名に恥じない日常的な活動、コミュニケーションのとり方が求められています。

 〝深耕〟という言葉がありますが、「共産党」は、選挙のたびのその場限りの電話かけで、十分、時間を浪費してきました。近視眼的に間違った選挙活動をいつまでも続けていてはダメです、急がば回れです。「共産党」が〝共産党〟らしい、科学的社会主義の党らしい運動に立ちかえることを、心から、期待したい。

*このページとあわせて、ホームページ3-3-1「〝前衛党〟は市民革命の助産師に徹しよう」も、是非、お読み下さい。