2-2-1 誤った意見(その1)

「新産業の育成」で問題解決?!

「新産業の育成」で問題解決?!

 

「新産業の育成」は大事な施策

 新しい素材、新しい商品、新しい流通システム(価値実現のしくみ)、様々な既存の知識の新しい組み合わせ等による「新産業の育成」は、私たちの生活を一変させ、豊かにさせてくれる可能性を秘めた、大変重要な施策です。

 

「新産業の育成」で問題解決は、誤り

しかし、「新産業の育成」は、一朝一夕にできるものではなく、不断の努力の積み重ねによって実現されるものが大部分であり、幽霊のようなものに期待をかけるのは誤りです。

 運よく、世の中をワクワクさせるような「新産業」が育ったとしても、それだけで、空洞化した日本経済を補いきるものではありません。グローバル資本の現在のような無責任な行動が続くかぎり、日本の「産業の空洞化」はすすみ、脆弱な産業構造は引き続き未解決のまま残るでしょう。そのことは、米国でGAFAMが世界を席巻するほどの成長を遂げても、「産業の空洞化」がもたらす社会の深刻な危機によって、社会の分断と対立が表面化していることを見れば明らかです。

 

資本の行動を規制しなければ問題は解決しない

新しい技術、既存の技術の新しい組み合わせ、新しい産業、既存の産業の新しい組み合わせを育成することは大事なことですが、「産業の空洞化」をもたらすような資本の行動をそのままにして、今のままの社会システム、今ある社会の仕組みをそのままにして、「新産業の育成」によって問題が解決するかのように考えることは誤りです。資本の行動を規制しなければ問題は解決しません。