3-3-1〝前衛党〟は市民革命の助産師に徹しよう

科学的社会主義の党が輝くとき(その1)

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科学的社会主義の党が輝くとき(その1)

〈目次〉

Ⅰ市民が動き始め、共産党はそれを評価した……(その1)

Ⅱ革命と科学的社会主義の党の役割

①マルクスが人民革命と名づけたあらゆる革命

②科学的社会主義の党の役割

Ⅲ科学的社会主義の党の闘いの進め方……(その2)

Ⅳこれらを踏まえ、〝市民革命〟のために2016年当時の選挙を振りかえる……(その3)

Ⅴ前衛党が輝くとき──市民と共に共同闘争の創出を……(その4)

Ⅵ〝歴史の転換点〟は人間の行動によってつくられる……(その5)

・このページの主要テーマ

 

このページの主要テーマ

これまでのページで、現在の「共産党」について三つの誤り──①日本の危機のとらえ方と革命的政策②党の認識と運営に於ける民主主義③革命運動のとらえ方と党の関与のしかた──を指摘し、①と②についてはすでに問題点とその改善の方策を見てきました。

 このページは、現在の「共産党」が再び元気を取り戻すことを願って、科学的社会主義の党にとって〝革命〟とはどのようなものなのかを確認し、科学的社会主義の党は〝革命〟にどのように貢献しなければならないのかを、選挙のたたかい方を含めて、見ていきます。

Ⅰ市民が動き始め、共産党はそれを評価した

 

市民が動き始め、共産党はそれを評価した

日本共産党の第二六回大会第5回中央委員会総会(2016年4月10~11日)の「報告」は、「日本の歴史で初めての市民革命的な動きの始まり」というタイトルの項で、「安保法制=戦争法に反対するたたかいを通じて、国民一人ひとりが、主権者として、自由な、自発的な意思で立ち上がり、声をあげる、戦後かつてない新しい市民運動、国民運動がわき起こり、豊かに発展しています」と述べ、「市民革命的な動き」を「希望ある流れ」として評価しています。

 そして、「日本の歴史で初めて」であるのか、「戦後かつてない」運動であるのかは、脇におくとして、「誠実に、粘り強く、野党・市民の共闘を発展させるために知恵と力をつくそう」との志位さんの「報告」での決意は、〝革命運動のとらえ方と党の関与のしかた〟が正しければ、日本共産党が、「戦後かつてない」国民運動の発展におおいに貢献するものとなるはずのものでした。

Ⅱ革命と科学的社会主義の党の役割

マルクスが人民革命と名づけたあらゆる革命

そもそも革命は、人民がおこなうもので、資本主義社会は人民の革命なしに、〝by the people〟の思想をもった新しい人々の存在なしに、新しい社会への脱皮ができない社会です。そして、パリ・コミューンとロシア革命は人民が新しい社会の主人公として、歴史を動かすことができることを、立派に、証明しました。だから、マルクスは、『フランスにおける内乱』で、労働者階級による政治権力獲得の現実性を示し、「労働の経済的解放」の意義を学ばせたパリ・コミューンの偉業を讃え、その歴史的な意義を私たちに教え、レーニンは、十月(旧暦1917年10月25日)革命に続く内外の反革命勢力との激しい闘いの中で開かれたロシア共産党(ボ)第七回大会で、ロシア革命の性格とそれに基づく勝利への展望について次のように述べています。

「わが国の革命がおこなっていることが偶然ではなく──われわれは、それが偶然ではないことを、深く確信しているが──、またわが党の決定の産物でもなくて、マルクスが人民革命と名づけたあらゆる革命、すなわち、人民大衆が、古いブルジョア共和国の綱領を繰りかえすことによってではなく、彼ら自身のスローガンにより、彼ら自身の奮闘によって、みずからおこなうあらゆる革命の不可避的な産物であるなら、もしわれわれがこのように問題を提出するなら、われわれはもっとも重要なものをなしとげることができるであろう」(レーニン全集第27巻P135『ロシア共産党(ボ)第七回大会』1918年3月8日)

 このように、科学的社会主義の思想が認める〝人民革命〟とは、人民大衆が「彼ら自身のスローガンにより、彼ら自身の奮闘によって、みずからおこなうあらゆる革命」のことであり、もちろん、「党の決定の産物」などではありません。このような〝人民革命〟こそが資本主義社会を変えることができるのです。

 以下で、このような科学的社会主義の思想に基づく〝前衛党〟の革命運動のとらえ方と〝前衛党〟の関与のしかた、〝前衛党〟の役割について、一緒に見ていきましょう。

※『フランスにおける内乱』に関する詳しい説明は、ホームページ4-20「☆「社会変革の主体的条件を探究する」という看板で不破さんが「探究」したものは、唯物史観の否定だった」及びホームページ4-4「不破さんがフランス革命から学んだもの」を、是非、お読み下さい。

科学的社会主義の党の役割

マルクスとエンゲルスは『共産党宣言』(1848年)で「かれら(労働者階級──青山)の闘争の本当の成果は、その直接の成功ではなくして、労働者のますます広がっていく団結である」ことを述べ、マルクスは1865年にエンゲルスに送った手紙で、「労働者党の誇り」は支配階級が振りまく「いまわしい幻想」が「事物の論理」によって「幻滅」に変わり、「このような妄想の空虚さが経験によってはじけるより前に、そのような妄想を退ける」ことであり、そのような労働者党とともにいる「労働者階級は革命的」であることを言っています。ちょっと長くなりますが、参考に掲載します。

〈参考〉マルクスからエンゲルスへの手紙(1865年2月18日)

「団結は、そこから成長する労働組合とともに、ブルジョアジーとの闘争のための労働者階級の組織の手段として極度の重要性をもっているだけではなく──この重要性は、なかんずく、合衆国の労働者でさえ、選挙権と共和制とがあるにもかかわらず、それを欠くことはできないということに現れている──、プロイセンおよび全ドイツにおいては団結権はさらに警察支配や官僚制度の打破であり、僕婢条例や農村における貴族経営を粉砕し、要するに、それは、『臣民』が成人になるための方策であり、この方策は、進歩党でも、すなわちプロイセンにおけるどのブルジョア的野党でも、気が違っていないかぎり、プロイセン政府よりも、ましてやビスマルクごときの政府よりも、百倍も早く承認できるはずのものなのです!これに反して、他方では、王国プロイセン政府の協同組合援助は──そしてプロイセンの事情を知っているひとならばだれでもはじめから必然的な矮小規模をも知っているでしょう──経済的方策としてはゼロですが、同時にこれによって後見制度が拡大され、労働者か階級の一部が買収され、運動が無力化されるのです。……、労働者党も、もしビスマルク時代とか他のなんらかのプロイセン時代によって王様の恩寵のおかげで金のリンゴが自分の口にころがりこんでくると思い込むならば、もっとずっとひどい物笑いの種になるでしょう。プロイセン政府の社会主義的干渉というラサールのいまわしい幻想にたいする幻滅が現われるであろうということは、少しも疑問の余地がありません。事物の論理がものを言うでしょう。しかし、労働者党の誇りは、このような妄想の空虚さが経験によってはじけるより前に、そのような妄想を退ける、ということを要求しています。労働者階級は革命的なのであり、そうでなければそれはなにものでもないのです。」(不破哲三氏編 書簡集1)

 そして、エンゲルスは、『空想から科学へ』(『反デューリング論』のリメーク抜粋版)で、近代プロレタリアートの歴史的使命と科学的社会主義の任務について次のように述べて、〝空想から科学へ〟を結んでいます。

「この世界解放の事業をなしとげることは、近代プロレタリアートの歴史的使命である。この事業の歴史的条件、およびそれとともにその本性そのものを究明し、そして、行動の使命をおびた、今日のところ抑圧されている階級に、かれら自身の行動の条件と本性とを自覚させることは、プロレタリア運動の理論的表現である、科学的社会主義の任務である。」(エンゲルス『空想から科学へ』1880年 新日本文庫P75)

このことをマルクスとエンゲルスから学んだレーニンは、『社会民主党綱領草案と解説』(全集第二巻P77~99、ホームページ5「温故知新」→「レーニンの著作の抜粋B-1・党(その1)」のPDF4-1参照)で、労働者党の労働者への援助の内容について次の三項目をあげています。

第1は労働者のもっとも緊切な必要の充足のための闘争において労働者に助力することによって労働者の階級的自覚を発展させること。

第2は労働者の組織化に助力すること。

第3は闘争の真の目標を示すこと。

このように、マルクス・エンゲルス・レーニンの三人の天才が異口同音に言っていることは、①科学的社会主義の任務は、プロレタリアートに世界解放の事業を遂行することがかれらの歴史的使命であることを意識させることであるということ。②労働者階級の闘争の本当の成果は労働者のますます広がっていく団結であり、労働者党の任務は労働者の階級的自覚を発展させ労働者の組織化を助けることであり、〝by the people〟の担い手である自覚的な個人をウンカのごとく創り出すことであるということ。③そのために、労働者党は闘争の真の目標をハッキリと示すということです。つまり、資本主義の矛盾の現在の現れを暴露し、闘争の真の目標を大衆に示し、宣伝・煽動を徹底するということです。

  このように、〝前衛党〟の役割は、前衛党が政権をとって政治支配をおこなうことではありません。〝前衛党〟の役割は、国民に未来を示し、〝国民の新しい共同社会〟の自覚的な担い手をウンカのごとく創り出し、労働者・国民が、先の「共産党」の第5回中央委員会総会の言う「市民革命」を遂行するための力をつけのを徹底的に援助することです。科学的社会主義の党は、そのような立場、観点をもって労働者、市民、国民と接しなければなりません。

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