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 FOMCの利上げを〝マルクス経済学〟で見てみよう!!

FOMCの利上げを〝マルクス経済学〟で見てみよう!!

 

インフレを抑えるためにFOMCは政策金利の利上げを継続!!

2022/12/15のブルームバーグのホームページによると、12月14日のFOMCの政策金利の利上げとその継続について、前ニューヨーク連銀総裁のダドリー氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「労働市場に十分なスラック(たるみ)をもたらし、2%のインフレ率と整合する形で賃金のトレンドを低下させるには、経済を十分減速させる必要がある」と説明した、とのことです。

なお、11月の失業率は3.7%であるが、今回のFOMC参加者の来年の失業率についての予測が4.6%に引き上げられたとのことです。

 

この記事をマルクスの経済学で解説すると

この資本主義的生産様式の社会の推進者であるダドリー氏の政策金利引き上げ継続の理由の「説明」は、科学的社会主義の経済学を通して見ると、彼が実に忠実な資本の擁護者であり、且つ実に正直な人物であることがわかりますが、しかし、この「説明」からは彼の本性は隠されて、見ることができません。

科学的社会主義の経済学を通して見た、この「説明」の意味は、政策金利の利上げを継続することによって失業者を増やし、マルクスの言う資本主義的生産様式にとって欠くことのできない〝労働予備軍〟を増加させることによって──労働市場に十分なスラック(たるみ)をもたらし──労使関係を資本優位にして、労働者の賃金を下げることによって、企業の儲けを減らすことなくインフレ退治を行うということです。つまり、労働者の一方的な犠牲によってインフレをなくすということをダドリー氏は言っているのです。

 

ダドリー氏の証言を裏付けたFOMCの議事要旨

このFOMCの議事要旨が1月4日に公表され、その中でFOMC参加者は「労働市場の逼迫が長引けば、物価の上昇圧力は想定を超えて根強くなる可能性がある」ことを指摘し、ブルームバーグは、議事要旨について、「議事要旨では、失業率が上昇し経済成長が鈍化するリスクがあっても、インフレ率を目標の2%に向けて押し下げることに当局が専心していることが示された」(Bloomberg)と「インフレ率を目標の2%に向けて押し下げる」ための手段をマイルドに表現して伝え、世界のマスコミがそれに従いました。

ダドリー氏の証言のとおり、FOMCは、企業の儲けを減らすことによってインフレを退治するのではなく、企業が労働者のクビを切って「失業率が上昇」して労働者の購買力が減り「経済成長が鈍化」しても、そのことによって労働需給が資本優位となって労働者の賃金を抑えこむことによってインフレを退治する。FOMCはこういうシナリオを実現するために「専心している」ことが議事要旨の公表により明らかになりました。資本がそのシナリオにそって行動していることは、米国からの連日の雇用削減の報道が伝えているところです。

 

この資本の魂胆が労働者に伝わらないのはなぜか

FOMCは労働者階級に対してこんなひどいことをしているのに、私たちにそのように見えないのはなぜか。

それは、資本主義社会が──実際は労働者が価値を生みだし資本がそれを搾取しているのに──あたかも、資本が価値を生みだして労働者が資本に食わせてもらっているかのような転倒した社会構造に世の中がつくられ、それをマスコミが当然のように描き、そのことを暴露してしっかりと国民に伝え続けるべき責任のある確固としたした科学的社会主義の党がないからです。

このページの使命

このページは、このような資本主義的生産様式の社会の推進者や太鼓持ちの学者たちがつい漏らしてしまった本音を科学的社会主義の言葉で暴露すること、また同時に、彼らが資本主義社会の美化のために振りまくウソを科学的社会主義の洞察力で彼らの意図を明らかにし、これらを通じて労働者階級に資本主義的生産様式の社会の真の姿を示して、彼らが資本家と闘うエネルギーを湧き上がらせるのを助けることを使命と心得ています。

ご期待ください。