2-1-3
〝社会のあり方〟と〝自由と民主主義〟の現在・過去・未来
このページのPDFファイルはこちら
〝社会のあり方〟と〝自由と民主主義〟の現在・過去・未来
はじめに
☆〝社会〟のあり方に応じて、その社会での〝自由〟の質と許容度は変化します。〝自由〟とは自らの判断で決定し実行できるということですから、その構成要素には時間的、空間的、物質的、社会的条件等自己に関連するすべてが含まれますが、ここでは、社会の進み具合に応じて〝自由〟はどのように変化していくのか、〝社会〟と〝自由〟の現在・過去・未来と〝自由〟と〝民主主義〟との関係について、みなさんと一緒に見ていきたいと思います。
〝資本主義的生産様式の社会以前の社会〟の〝自由〟
☆〝社会〟のあり方に応じて、その社会での〝自由〟の質と許容度が変化するということは、「ある社会」での〝自由〟はその社会を存続させ維持させるために許容された質の「自由」だということです。
たとえば、「資本主義的生産様式の社会以前の社会」では、国家はその「国家の支配者」のものとして存在し、「国家の支配者」が社会も個人も支配していましたから、社会を構成する集団も個人もそのあり方を「自らの判断で決定し実行する」ことはできず、社会のあり方を決める〝自由〟も個人のあり方を決める〝自由〟も、「国家の支配者」が支配を円滑におこなうために認めた「自由」に、基本的に、制限されています。
〝資本主義的生産様式の社会〟の〝自由〟と〝民主主義〟
☆上記のような「あからさまな支配」関係を「契約」関係で隠蔽した「現代の生産様式」の社会は、少数の支配者が多数の被支配者を支配するために、「金権」と「歪められた事実」、そして、「ゲルマンダリングな選挙制度」を基礎とするカッコ付きの「民主主義」に基づく“政治”によって維持しなければなりません。
「現代の生産様式」の企業における経営者と従業員との関係は、「Employment-at-will」(任意に基づく雇用)を原則として双方の「自由」意志に基づく雇用関係があるだけで、生産手段からの「自由」と解雇される「自由」だけを与えられた労働者には、企業の「ステークホルダー」の一員として、当然与えられるべき、企業経営へ参画するための〝民主的〟なルールなどありません。
●このように資本主義的生産様式の社会の「民主主義」は、「企業」や「経済」のあり方を含む社会全般の〝民主主義〟ではなく、政治に限定された、歪められ矮小化された「民主主義」です。資本主義的生産様式の社会の「民主主義」の特徴は、民主主義が社会全体に組織されているのではなく、「民主主義」が政治支配の道具として政治のなかに歪んだ形で取り入れられているという点にあります。
●このように資本主義的生産様式の社会には〝民主主義〟が社会全体に組織されていないので、社会が万民に等しい恩恵をもたらすような社会を〝自らの判断で決定し実行する〟という〝社会のあり方を決める自由〟が保障されていません。「資本主義的生産様式の社会」の「自由」は、「搾取の自由」を認め搾取を覆い隠すための契約の「自由」などを含む、資本主義的生産様式の社会を維持するための「個人の自由」を中心に形成されています。
☆資本主義的生産様式の社会は、国家の支配者(資本家階級)が国民の〝社会のあり方を決める自由〟を制限して社会を支配し、「個人の自由」の名の下に支配階級に搾取の自由を謳歌する権利が与えられた、生産手段を持たない労働者階級にとって不平等な「個人の自由」の社会です。
資本社会社会の次にくる社会の〝自由〟と〝民主主義〟
☆私的資本が大きくなることを通じて経済を発展させる──そのために、経済は資本を大きくするためにある──という資本主義的生産様式の社会を否定して、〝経済は社会のためにある〟という真っ当な考えが社会と企業の〝精神〟となり、〝民主主義〟が狭い「政治」の場面だけでなく、経済の大本である企業においても実現し、搾取の自由という利己的な「自由」が克服された、企業の統治に労働者階級が参加するような統治機構をもった、生産様式の大転換した社会のことを、社会主義者は、〝社会主義社会〟と呼んでいます。
この「資本主義社会の次に来る社会」の〝自由〟と〝民主主義〟は、社会の主人公である人民のための自由と民主主義です。だから、いわゆる〝社会主義社会〟は、人民が〝社会のあり方を決める自由〟を国家が保証し、「資本主義的生産様式の社会」で謳歌されていた利己的な「個人の自由」を禁止し、思想信条の自由・表現の自由をふくむ〝個人の自由〟を妨げる政治的、経済的障害を除去することに努め、個人が〝社会の主人公〟として自由に社会参加できる条件を整えることを目的とした社会です。
そして、〝民主主義〟はいわゆる〝社会主義社会〟で最大限発揮され、不平等を前提とする「民主主義」は、その概念のもつ意味を失い、その使命を終わります。
来るべき新しい社会の自由・平等・友愛
☆このように、〝beyond資本主義〟の新しい社会は、自由の質を〝他者を顧みない個人的な自由〟から〝社会の発展を保障する自覚的な自由〟へ、平等の質を〝形式的な平等の保障〟から〝実質的な平等の保障〟へ、友愛の質を国家・民族・宗教を超えた友愛へ、と一変させた社会となり、人類の歴史は弱肉強食の野蛮の時代から人類共生の文明の時代へと大転換します。
そして、この〝新しい生産様式の社会〟における〝民主主義〟と〝自由〟の理念の中に新たに書き加えるべきスローガンは、「企業と経済に〝民主主義〟を！」であり、「搾取と抑圧に〝不自由〟を!!」となることでしょう。
資本主義社会の次に来る社会の高度に発展した社会の〝自由〟
☆資本主義社会の次に来る社会の高度に発展した社会、社会主義者のいういわゆる〝共産主義社会〟は、いわゆる〝社会主義社会〟を土台としてその上に現れる高度に発展した社会ですから、平等とか公平とかいう概念そのものが無意味で、そういう概念そのものが消滅した社会で、マルクスの言う「精神的労働と肉体的労働との対立もなくなったのち」の「労働がたんに生活のための手段であるだけでなく、生活にとってまっさきに必要なこととなったのち」の社会ですから、利己的な「自由」を防止するための国家の存立基盤もなくなった〝個人の自由〟が社会によって全面的に保証された社会です。
だから、マルクスとエンゲルスは、このいわゆる〝共産主義社会〟のことを〝自由の国〟と言いました。
このページのボリュームが少ない理由
☆〈〝社会のあり方〟と〝自由と民主主義〟の現在・過去・未来〉と〝大上段に構えた〟わりには、あまりにもページ数が少ないのではないかと思われた方も多いのではないかと思います。
〈〝社会のあり方〟と〝自由と民主主義〟の現在・過去・未来〉という大きなテーマだからこそ、その中心点と思われることだけを提起して、これをヒントに、みなさんに熟考して頂きたく思い、あえて短いページに致しました。このページをご覧になった方は、是非、みなさんで〈〝社会のあり方〟と〝自由と民主主義〟の現在・過去・未来〉をブラッシュアップして下さい。そして、資本主義社会に素晴らしい〝自由と民主主義〟があるかのように言うイカサマ師たちの「自由と民主主義」を、みなさんが、完膚なきまで粉砕していただけたら、ありがたいです。
次のページのご案内
●次のページでは、〝巧妙に作られた「画期的」な搾取の仕組みの社会〟である資本主義社会を丸裸にし、資本主義社会の歴史的使命・役割を明らかにして、〝資本主義社会に続く新しい生産様式の社会〟を展望します。必ず、みなさんの役に立つページになると思いますので、是非、お読み下さい。ちょっとボリュームがありますので、PDFファイルをダウンロードして、じっくりお読み頂ければありがたいです。