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パラダイムシフト

パラダイムシフトとは何か、なぜ今、パラダイムシフトが必要なのか

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パラダイムシフトとは何か、その結果、どんな社会が現われるのか

〈目次〉

はじめに、パラダイムシフトとは何か

1、なぜ今、パラダイムシフトが必要なのか

2、どうすれば日本の未来があるのか

3、パラダイムシフトの推進力

4、その結果、どんな社会が現われるのか

5、私たちが予測できる〝近未来社会〟の姿

はじめに

 

パラダイムシフトとは何か

この場合のパラダイムシフトとは、これから、その全体像について概観しますが、資本主義的生産様式の社会を〝経済は社会のため国民のためにある〟という〝新しい生産様式の社会〟に変えることで、社会の支配者を資本という「モノ」から〝人間〟に変えることです。

 その〝新しい生産様式の社会〟は、生産手段(企業)と経済を人間が支配する社会で、政治権力と生産手段(企業)を人民(people)が掌握した社会です。そこでは、経済は私的資本を大きくするという私利私欲から解放され、社会のため国民のために生かされ、個々の企業もその企業の経営方針はその企業の労働者代表を含むステークホルダーよって決められ、「資本」のもつ特権はなくなり「資本」という概念は消滅し、生産は「資本」という財産から解放されます。

1、なぜ今、パラダイムシフトが必要なのか。問題の所在について

──資本主義的生産様式の社会の矛盾とグローバル資本の飽くなき利益追求──

なぜ、生産力の向上が国民の生活を豊かにしないのか

儲けを唯一の目的として富が動く「資本主義」という前提を取り払えば、生産力が向上すればするほど——つまり、より少ない労働力で、より多く物が作れるようになればなるほど——国民の生活はより豊かになっていいはずです。なぜなら、より少ない人数でより多くのモノが生産できるようになれば、余剰となった労働力を物の生産以外に振り向ける余地が年々拡大し、それらを、福祉や生活に必要なサービスなど豊かな社会づくりのために、より多く振り向けることができるようになり、人々の生活に豊かさと余裕が生まれるはずですから。しかし残念ながら、今の日本の経済システムの基での企業は、労働者の作った富を資本(企業)が吸い上げて、より一層、儲けを増やすことに使うことを基本的な目的として運営されています。ここに根本的な矛盾があります。〝生産の社会的性格と取得の私的資本主義的性格〟との矛盾です。〝企業や経済が社会と国民のためある〟というシステムになっていないのです。

グローバル企業の私的資本主義的性格が日本社会を崩壊させる

資本は、国内での市場拡大の限界にぶつかり、事業拡大が制約されると、儲けるためにどんな行動をとるのか。 

 道は二つあります。一つは同じ量の生産で儲けを増やし続けようとすること。そのために、いままで設備投資に使っていたお金を銀行の借金返済に廻し、内部留保を厚くしてお金をため込み、設備投資を生産性を高め労働者を減らすための更新にとどめ、労働者の数を減らし、あれこれ理屈を付けて賃金を引き下げる。これが毎年続くと社会の富の生産が全体的に減り、経済も社会も停滞します。そして、もう一つは海外での儲けを増やすことです。作った製品を海外に売りさばくだけでなく、海外で生産して一層の儲けを得ようとする。こうして国内生産が減少し、国内産業の空洞化がはじまります。その結果、グローバル企業は高度成長期並みの成長を続ける一方、中小企業・非製造業の業績は低迷し、労働者の賃金は減らされ、不安定雇用が増加し、景気回復局面でも国民のふところは潤わず、そんななかで儲けようとするブラック企業すら現れる始末です。残念ながら日本はこの通りの道を歩んできました。

 詳しくは、ホームページ1「今を検証する」の各「子ページ」を参照して下さい。

 

 なお、「産業の空洞化」が雇用の悪化をもたらしている点について、故大瀧雅之氏も岩波新書『平成不況の本質』で「有効需要の不足は、国内投資が対外直接投資に呆れるほどの速度で代替されているからである」と述べ、「産業の空洞化が著しく進んだ時期」、「日本は失業と利潤を輸入し、雇用機会と資本を輸出していたわけである」と述べ、工藤昌宏氏も『前衛』のインタビューで、「産業の空洞化」が最大の産業構造問題であることを指摘し、〝産業の空洞化〟によって産業構造が変化し、「経済循環構造の〝破断〟」がおこなわれたこと、「長期不況を打開するには」、「産業の空洞化を抑えることが必要」であることを述べています。 

 また、深尾京司氏も『日経』(2013/11/01付け)「経済教室」で「国内産業集積が重要 所得の海外流出を止めよ」として、経産省の14年度の重点政策である中小企業の海外展開支援を「正気の政策と言えるだろうか」と痛烈に批判しています。

 そして、2014/01/19付け『日経新聞』によれば、2012年度の国の正味財産が1.1兆円増えて3000.3兆円となり、その内訳として、企業の海外直接投資や銀行の海外向け融資が大きく伸び、対外純資産が30.9兆円増え、296.3兆円になったという。単純に計算すれば、29.8兆円の国富が日本国内から海外に持ち去られたことになります。 

この流れは、現在(2022/12/18)も変わらず、歴史的な円安にもかかわらず、産業の空洞化が是正されることなく対外純資産は増え続け、アベノミックスにもとづいて2013年から日銀の黒田総裁が始めた異次元緩和はその成果を上げることができず、お手上げ状態が続いています。市場に放置せず、資本を強制的にコントロールしてこの流れを変えなければ、日本の再生など、絶対にありえないことが証明されました。

併せてお読み頂きたいページ

なお、〝私的資本主義的生産〟がいかに時代遅れなものなのかを再認識するためのページとして、ページ群2-1 「二一世紀は何処に向かって進んでいるのか」の下記の「子ページ」があります。まだお読みでない方は、是非、お読み下さい。

各子ページの紹介

その1…資本主義の仕組みとその限界から見えてくるものは?

現代は資本主義的生産様式が支配する世界であり、私的資本の富が拡大することを通じて経済を拡大させ社会を維持させるシステムの社会です。この資本主義的生産様式を支える「自由」と「民主主義」に従って経済活動が行なわれると「富」は富める者の方に集中し、構造的な貧富の差が生まれ、格差はますます蓄積されていきます。

このページは、このような現実に直面して、どうしたらこの〝難題〟を解決することができるのか、〝経済は社会のため、国民のためにある〟というあたりまえの考えを実現するために、国連は世界をどのように「変革」しようとしているのか、ダボス会議は資本主義的生産様式をどのように「リセット」しようとしているのか。二一世紀はどこに向かって進んでいるのかを、皆さんと一緒に考えるための、最初のページです。

国連がめざすSDGsは、〝各国〟の〝すべての人々〟が等しく恩恵を受けられるような経済・社会、そして、地球の安定的で彩り豊かな発展を保証するような経済・社会の構築をめざしています。そして、それは、〝経済は社会のためにある〟という社会でなければ実現しません。

それでは、〝経済は社会のためにある〟という社会はどのように実現されるにか。それは、資本が大きくなることによって経済を発展させる仕組みの社会を卒業して、国民が企業と経済をコントロールできるようにならなければ実現しません。このページは、そのことを再確認します。

資本主義社会の礼賛者たちは、資本主義社会が〝自由と民主主義〟の王国のように言います。

 このページは、〝社会〟と〝自由〟と〝民主主義〟との関係について、社会の進み具合に応じてどのように変化していくのかを、資本主義社会における「自由」の特徴と「民主主義」の限界を明らかにし、資本主義社会における「自由」と「民主主義」と資本主義社会の次にくる〝新しい生産様式の社会〟における〝自由〟と〝民主主義〟の違いを中心に、みなさんと一緒に、見ていきたいと思います。

「自由」な「契約」によって成り立っている資本主義社会はどのような社会なのか。あなたのイメージに合っているか、それとも違うのか。そうだったのかと唸るのか、それともそれは違うと反論するのか。

ページは、〝巧妙に作られた「画期的」な搾取の仕組みの社会〟である資本主義社会を丸裸にし、資本主義社会の歴史的使命・役割を明らかにして、〝資本主義社会に続く新しい生産様式の社会〟を展望します。

必ずみなさんの期待に応え、みなさんの役に立つページになると思いますので、是非、お読み下さい。ちょっとボリュームがありますので、PDFファイルをダウンロードして、じっくりお読み頂ければありがたいです。

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「資本」のための経済から「人間」のための経済へ

 

──経済は社会を豊かにし、人々の生活を豊かにするためにある──

このページは、あらためて、資本主義的生産様式の仕組みを明らかにし、〝経済は社会を豊かにし人々の生活を豊かにするためにある〟という社会の生産の仕方とはどのようなものなのかを考え、そのような社会はどうしたら実現できるのかをみなさんと一緒に見ていきます。

その2…資本主義に変わる〝新しい社会〟の基本的な姿とは?

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現代の資本主義が準備する新しい生産様式の社会

──「資本」のための経済から「人間」のための経済への転換の条件──

このページは、〝新しい生産様式の社会〟の概要をスケッチしたものです。

 現在の日本を見て、私的資本による社会経済の支配が破綻せざるを得ないことを明らかにし、現代の資本主義が準備する新しい生産様式の社会とはどのようなものなのかを考え、新しい生産様式の社会は人間をどこへ導くかを見ていきます。

このページは、「資本主義的生産様式の社会」と「ポスト資本主義社会」との違いを、それぞれの「生産様式」のもつ法則に基づき「産業」と「労働」の面から箇条書きに整理し、現在の日本が「資本主義的生産様式の社会」を捨て、〝新しい生産様式の社会〟への途に進路を変えなければ、手遅れになりかねないことを指摘し、日本の未来のために私たち一人ひとりが日本を変える大河の一滴となることを呼びかけます。

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「資本主義的生産様式の社会」に変わる〝新しい生産様式の社会〟とは

──〝新しい生産様式の社会〟は主権者である国民・労働者階級が創る──

このページは、〝資本主義的生産様式の社会〟の推進力とその限界を明らかにし、それに変わる〝新しい生産様式の社会〟とはどのような社会なのかを示し、そのために何が必要で私たちは何をすればよいのかをみなさんと一緒に考え、このページをご覧いただいたみなさんに日本の未来のために躍動するためのささやかなヒント提供します。

2、どうすれば日本の未来があるのか。

社会を〝経済は国民のため社会のためにある〟というシステムに変える

それは、個別資本が自己の利益のみを追求することによって成り立っている現在の社会システムをやめ、社会全体の福祉の向上を図ることを目的とする社会システムに転換することです。社会全体が豊になる社会的生産の社会を実現すること、そのための〝国民の新しい共同社会〟をみんなで作ることです。

それは、労働者が生み出した富を社会に還元するシステムに社会を変えること

具体的には、グローバル企業がこれまで海外での生産拡大のために「輸出」していた富と雇用を国内に戻して社会に還元し、社会はそれを原資として福祉や社会基盤等の充実を図ることです。各企業は国民が必要とする量と質の商品の生産性を高め、より一層効率的な方法で生産する努力を不断に継続することは言わずもがなです。資本の拡大のみを目的としていた各企業が社会全体が豊になることを目的とする社会システムの構成要素となることによって、各企業は無駄な消費を煽ったり、無理して売ることも、ボロ儲けをしようとして作りすぎることもなくなります。 

 これらの結果、余剰となった資金と労働力は、再び豊かな社会づくりのための原資として活用され、労働者の努力が社会に還元される。これまで個別資本の拡大のために私的に使われていた〝利益〟──労働者の血と汗の結晶──を〝社会の豊かさの拡大再生産〟のために使うのです。国内で生産力を高める〝足かせ〟となり、国内産業の空洞化をもたらしていた資本主義的な生産の仕方を新しい生産システムに変えることによって、産業と科学技術に、国内での〝生産力の発展〟の自由が与えられ、私たち勤勉な日本国民の戦後の努力が報われる国民のための新しい社会が実現します。このとき、「資本」は資本として企業を支配する力を剥奪されて、企業は労働者階級を中心とする社会によって支配されます。

3、パラダイムシフトの推進力

パラダイムシフトの推進力は誰か

私的生産による利潤追求の結果、産業の空洞化の結果、被害を受けるのは資本の運用によって利益を受ける限られた人たち以外のすべての国民です。だから、利害関係からいえば、ほぼすべての国民がパラダイムシフトの推進力となります。そして、最も被害を受けるのは資本家に雇われる以外に生活の糧のない労働者階級です。それは、海外へ出て行くグローバル企業から「雇用の輸出」の危機にさらされている労働者であり、「雇用の輸出」によって不安定な雇用環境におかれた非正規雇用労働者であり、労働生産性の高まらないサービス産業で働かざるをえない労働者群です。だから、彼らこそ、パラダイムシフトを推進する運動の〝中軸〟を担う役割を果たすべき人たちとならなければならないのです。

パラダイムシフトのためには何が必要か

パラダイムシフトをするために、つまり、政治権力と生産手段(企業)を社会(people国民)が掌握するためには、何が必要なのでしょうか。

 〝経済は社会のため、国民のためにある〟という社会の実現のためには、①政治を変えるための職場・地域での宣伝・暴露とともに②企業のあり方を変えるための労働者階級の運動を発展させることによって、政治権力と生産手段(企業)を社会が掌握して、民主主義が社会全体に組織された社会──マルクスの言う「結合された生産者たち」の社会──を作るということを労働者階級を中心とする多くの国民が理解し、確信をもつための運動を燎原の火のように拡めなければなりません。

 そのようなパラダイムシフトを推進する運動の〝中核〟を担えるのは、労働者階級以外にいません。労働者階級こそが、日々搾取されているというだけの存在などではなく、企業の内実を熟知し企業の中に労働組合という運動の拠点を持った、社会変革の資格と能力を持った存在なのです。このことを忘れたり、無視してはいけません。労働者階級が〝新しい生産様式の社会〟をめざして前進することが、パラダイムシフトのための絶対条件なのです。

科学的社会主義の党の役割

労働者が、上記のような労働者階級の歴史的使命を自覚し、国民がその力を発展させるためには、科学的社会主義の党は、日本の現状を100回でも、1000回でも、1万回でも曝露し、労働者階級と国民が資本のデマを見抜き、打ち破るのを助け、勇気づける、あらゆる援助をしなければならなりません。マルクスとエンゲルスの『共産党宣言』はそのような党の必要性・存在意義を明らかにしました。

 前衛党は、労働者階級のまわりに全ての国民を結集し、共同した力を組織する努力を怠ってはなりません。労働者のいるところで、外から中から日本の現状のバクロと資本主義的生産様式の社会の変革の必要性を100回でも、1000回でも、1万回でも、彼らにその必要性が切実に理解されるまで、休むことなく行なわなければなりません。そして、議会での議席獲得にうつつを抜かすのではなく、生産手段(企業)を社会が掌握するために、企業の経営方針がその企業の労働者代表を含むステークホルダーよって決められるような企業統治の社会のルールが作られるよう、世論を喚起し続けなければなりません。もちろん、より広い層が生活する居住地域で、規則的系統的に日本の現状のバクロとパラダイムシフトの必要性を訴え、政治権力の人民への移行を促すことは、言わずもがなに重要です。

「共産党」への苦言

科学的社会主義の党は人民による政治の実現・人民による社会の管理の実現のために力を注がなければなりません。

 選挙の時だけ、聞き心地のいい、万人に受けるメニューを示すだけでは、政治と社会の管理を担う国民の力の発展に寄与することなどできません。前衛党は、日常不断に日本の現状のバクロとパラダイムシフトの必要性を訴え、人民による政治の実現と人民による社会の管理の実現のための開かれた運動を組織するために、労働者と市民への援助を、自らの使命として自覚し、とことん行なわなければなりません。

 “議会主義的クレティン病”に冒されて、〝新しい生産様式の社会〟は労働者階級の存在とその自覚的成長なくして実現できないことを、忘れてはなりません。

4、その結果、どんな社会が現われるのか

産業が地域の豊かな発展を支える

工業立地の仕方も今までとは全く違うものとなります。これまでは、個別企業が都合の良さそうなところを恣意的に選んで立地した結果、誘致に失敗した地域はぺんぺん草が生え、自治体財政は大きなダメージをうけました。その結果、「だから開発は反対だ」と抽象的な「内発的発展」を言う以外なんの対案ももたない政党から揶揄され続けてきました。それでも、そんな無政府的な開発であっても、国民は、抽象的な「内発的発展」論を言うだけで、「資本をコントロール」して労働者の職を確保し地域を健全に維持するための「対案をもたない政党」を「何でも反対の党」とみなし、成り行きまかせの無政府的な開発に夢を託す開発政党を支持し、自治体は、企業が来るかどうかも分からずに基盤整備合戦をおこなうという〝博打〟を打ち続けてきました。

 しかし、資本主義的生産関係を放棄することを決意し、社会全体・国民全体が豊になることを目標とする権力は、資本の自由な活動をコントロールして、あらかじめ国民の総意で決めた工業配置計画等にもとずき、国土のバランスのとれた地域づくりに「資本」を参加させて地域の豊かな発展を支える役割を果たさせます。こうして、「資本」から解放されつつある〝産業〟は、自治体が造成した産業団地にペンペン草を生やすことなく、地域の豊かな発展を支えることができるようになります。

商業が地域の豊かな発展を支える

流通も資本主義的生産関係から解放されることによって、価値の実現方法(物を売って貨幣をえること)も大きく変わります。例えば、ローソンもセブンイレブンもファミマも202X年の今と外見上は何の変化も見られません。若干ケバケバしさは薄れたが、街のネオンも綺麗です。しかし、いまや、それぞれの店舗はそれぞれの個別資本の利益追求のための道具から国民の利便性向上のための拠点に変化しています。その運営の基本方針は、国民の総意で決められます。だから、儲かる都会の利益は、必要だが儲からない田舎の「コンビニ」づくりに使われることになります。

 そして、国土のバランスのとれた発展が図られることによって、富の地域内循環が図られ、商業が地域の豊かさを支えます。

5、私たちが予測できる〝近未来社会〟の姿

経済は社会のため国民のためにあるという〝新しい生産様式の社会〟の構造

〝新しい生産様式の社会〟では、社会が企業と経済をコントロールしていますから、企業を支配していた「資本」は、単なる「出資金」としての存在に成り下がります。企業の経営方針は、その企業の労働者代表を含むステークホルダーよって決められるので、「資本」なる〝神〟の出る余地などなくなります。

 〝新しい生産様式の社会〟では、社会が生産手段(企業)と経済をコントロールしますから、「資本」の概念は消滅し、生産力は「資本」がもたらす──儲かる限りでのみ資本は働くという──制限から解放され、思う存分社会のために発展させることができます。

なお、マルクスは「社会的生産」及び「資本主義的生産」と「資本」との関係について、『資本論』で、「社会的生産では貨幣資本はなくなる」(大月版②P437-8、同③P385)ことを述べ、「資本主義的生産の真の制限は、資本そのものである」(大月版④P313)ことを指摘し、「生産手段が資本に転化しなくなれば(カッコ内略──青山)、信用そのものにはもはやなんの意味もないのであって、……資本主義的生産様式が存続するかぎり、利子生み資本はその諸形態の一つとして存続するのであって、実際にこの生産様式も信用制度の基礎をなしているのである。」(大月版④P783-784)と述べています。正しく、しっかり理解しましょう。

新しい人がつくる新しい社会

そして、この〝新しい生産様式の社会〟への道は、社会のパラダイムシフトの必要性を理解した人たちの先進的で粘り強い運動によってウンカのごとく誕生した、〝人民による政治〟をめざす主体的で自立的な考えを持つ〝新しい人〟たちの試行錯誤を通じて、一歩一歩、切り拓かれて行くことでしょう。

  なお、もしも、日本に科学的社会主義の思想をもつ〝前衛党〟があるとしたら、その党の役割は、主体的で自立的な〝新しい人〟の誕生をたすけ、人民の団結を援助するために、全力を尽くして日本の現状を曝露し、その日本の現状から引き起こされる、来たるべき災難にたいし警告を発し、未来への展望を明確に示すことによって、新しい歴史を生み出す助産師の役割を果たすという、栄光ある任務を引き受けることでしょう。そして、〝前衛党〟は、〝新しい生産様式の社会〟を創る主役が、「前衛党」などではなく、国民であることを、その運動の進め方においても、しっかりと示さなければなりません。

※社会のパラダイムシフトの必要性をより一層深く広く理解して頂くためには、ホームページ群2-1「 二一世紀は何処に向かって進んでいるのか」の各「子」ページを、是非、参照して下さい。また、〝新しい人〟についてのより詳しい論及は、ホームページ3-1「自分の意見をもった〝新しい人〟が作る〝新しい社会〟──私たちは世界をどう認識すればよいのか、何処に向かって何をすればよいのか──」を、是非、参照して下さい。

〝近未来社会〟の日常の姿はどうなっているか

近未来社会では、社会のあらゆる領域での民主主義の実現による生産関係と生産様式の変化──企業の労働者代表を含むステークホルダーによる民主的支配・運営を含む、社会による企業と経済のコントロール──により、「生産物の分配」の支配関係は変化し、万事が国民本位になります。その結果、〝新しい生産様式の社会〟は、概ね、次のような特徴を持つも社会へと急速に歩を進めます。

①あらゆる便利さは今以上に改善される

②よけいな無駄がなくなる

③努力した人が報われる

④うまれながらの大金持ちがいなくなり、大金を配当や利子で稼ぐ人もいなくなる

⑤生活不安や他をけおとすための社会的に無意味な競争などがなくなり、悪いストレスが軽減される

⑥外部不経済、集合の誤謬が排除される

⑦資本主義的生産関係がなくなることによって、生産力の発展を抑制する経済的な制約が取り除かれ、生産性を一層発展させて、全ての国民が豊かな生活と自由な時間を享受するための最初の一歩が保障される

⑧etc

 そして、このような社会づくりに貢献した企業は社会から高く評価され、そこで働く労働者はそれなりの待遇を受けるとともに不破さんのような「ブルジョア改良主義者」の夢も叶えられる。

 なお、〝新しい生産様式の社会〟の「生産様式」のより詳しい解明は、ホームページ5-3-3「レーニンは国家と社会を民主的に組織することこそが社会主義社会への途であることを示した」を、是非、参照して下さい。

〝パラダイムシフト〟をよりよく理解して頂くために

なお、資本主義的生産様式の社会を丸裸にし、二一世紀は何処に向かって進んでいるのかを多面的に探究し、このようなパラダイムシフトの必然性・必要性を明らかにしたのがホームページ群2-1「二一世紀は何処に向かって進んでいるのか」です。是非、お読み下さい。

そして、このようなパラダイムシフトを行なうために、どのように国際社会と向き合うかを考えるのがホームページ2-4「国際社会とどう向き合うか」です。是非、お読み下さい。