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マルクスとエンゲルスは科学的社会主義の任務とたたかいの方向を示した

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目次

Ⅰ、科学的社会主義の思想は社会主義と労働者階級とを結合させた 

Ⅱ、科学的社会主義の思想は党に歴史を前進させる助産師の役割を与え、たたかい方を示した 

Ⅲ、科学的社会主義の思想は未来社会の展望と道筋を示した 

Ⅳ、レーニンに引き継がれた未来社会へのバトン

マルクス・エンゲルスは科学的社会主義の任務とたたかいの方向を示した

 

科学的社会主義の思想は社会主義と労働者階級とを結合させた

☆マルクスは唯物史観を発見し、社会主義を理性的=道徳的な願望として見るのではなく、資本主義体制の客観的分析を通じて資本主義の矛盾を明らかにし、社会的生産を担う労働者階級こそが資本主義的生産様式の先にある社会的生産に見合う新しい生産様式の社会の作り手であり、担い手であることを、私たちに、教えてくれました。

 マルクスの盟友であるエンゲルスは、『反デューリング論』で、科学的社会主義──プロレタリア運動の理論的表現──の任務は、プロレタリアートに世界解放の事業を遂行することがかれらの歴史的使命であることを意識させることであることを強調し、マルクスとエンゲルスは『共産党宣言』で「かれら(労働者階級──青山)の闘争の本当の成果は、その直接の成功ではなくして、労働者のますます広がっていく団結である」ことを述べています。

 このマルクス・エンゲルスから学んだレーニンは、「このように融合(社会主義と労働運動とを単一の社会民主主義運動に融合──青山補筆)されるとき、労働者の階級闘争は、有産階級による搾取から自己を解放しようとするプロレタリアートの意識的な闘争に転化し、社会主義的労働運動の最高の形態である独自の労働者的社会民主党がつくりだされる。社会主義を労働運動との融合に向わせたことが、K・マルクスとF・エンゲルスの主要な功績である。彼らは、この融合の必要なことを説明しプロレタリアートの階級闘争の組織化を社会主義者の任務として提起する革命的理論をつくりだした。」(第四巻「ロシア社会民主主義派のうちの後退的傾向」P274、1899年末に執筆)とその功績を讃え、「労働者階級の政治的発展と政治的組織化をたすけることは、われわれの主要な基本的任務である。」(第四巻「われわれの運動の緊要な諸任務」P403~404、1900年11月前半に執筆)と前衛党の任務を明確に述べています。

Ⅱ、科学的社会主義の思想は党に歴史を前進させる助産師の役割を与え、たたかい方を示した

 

科学的社会主義の思想を会得した前衛党の役割

☆科学的社会主義の思想を会得した前衛党の役割は、資本主義の矛盾を暴露し、少数者が多数者を支配するためのペテン・妄想を白日の下にさらして、労働者階級を勇気づけ歴史が前に進むのを助けることです。

 だから、マルクスはエンゲルスへの手紙で、「労働者党の誇りは、このような妄想(支配階級が国民に抱かせる妄想──青山)の空虚さが経験によってはじけるより前に、そのような妄想を退ける、ということを要求しています。労働者階級は革命的なのであり、そうでなければそれはなにものでもないのです。」(1865年2月18日、不破哲三氏編 書簡集1)と言っています。

 そして、マルクスとエンゲルスから学んだレーニンは、労働者党の労働者への援助の内容について、『社会民主党綱領草案と解説』で、

「第1は労働者のもっとも緊切な必要の充足のための闘争において労働者に助力することによって労働者の階級的自覚を発展させること。

第2は労働者の組織化に助力すること。

第3は闘争の真の目標を示すこと。」(全集第二巻P77~99)の三項目をあげています。

ホームページ5「温故知新」→「レーニンの考えの紹介」→「☆レーニンの著作の抜粋・B・党〈4綱領、綱領上の任務、党、党(員)の任務〉」のPDF4-1参照。

 そして、マルクス・エンゲルス・レーニンの三人が異口同音に言っていることは、①科学的社会主義の思想を会得した党の任務は、プロレタリアートに世界解放の事業を遂行することがかれらの歴史的使命であることを意識させ自覚させるということ、②労働者階級の闘争の本当の成果は労働者のますます広がっていく団結であり、労働者党の任務は労働者の階級的自覚を発展させ労働者の組織化を助けることであり、〝by the people〟の担い手である自覚的な個人をウンカのごとく創り出すことであるということ、③そのために、労働者党は資本主義の矛盾の現在の現れを暴露し、闘争の真の目標を大衆に示し、宣伝・煽動を、倦むことなく、徹底しなければならないということです。

  このように、〝前衛党〟の役割は、前衛党が政権をとって政治支配をおこなうことではありません。〝前衛党〟の役割は、国民に未来を示し、〝国民の新しい共同社会〟の自覚的な担い手をウンカのごとく創り出し、社会的生産に見合う新しい生産様式の社会の担い手である労働者階級の政治支配を実現するための手助けをすことです。〝前衛党〟は、そのような立場、観点をもって労働者、市民、国民と接しなければなりません。つまり、〝前衛党〟の役割は、〝国民の新しい共同社会〟をつくる助産婦になることです。

 

科学的社会主義の思想に基づくたたかい方

☆労働者階級の闘争の本当の成果である〝労働者のますます広がっていく団結〟を実現するために、「労働者のもっとも緊切な必要の充足のための闘争において労働者に助力することによって労働者の階級的自覚を発展させ」「労働者の組織化に助力」し、「闘争の真の目標」を実現するために、〝前衛党〟はどうすればよいか。

 マルクスは、『賃金、価格、利潤』で、労働運動は「現存の制度の諸結果にたいするゲリラ戦だけに専念し、それと同時に現存の制度をかえようとはせず、その組織された力を労働者階級の終局的解放すなわち賃金制度の最終的廃止のためのてことして使うことをしないならば、それは全面的に失敗する。」(大月書店国民文庫P89)と言っていますが、〝前衛党〟は労働者にそのことをしっかり訴え、「労働者階級の終局的解放すなわち賃金制度の最終的廃止」なくして労働者階級の未来はないことを労働者階級に理解させ、労働者に揺るぎない階級的自覚と一層のたたかうエネルギーを湧き上がらせることです。

 科学的社会主義の思想に基づくこのたたかい方は、レーニンによって強調され一層深化されましたが、それは、「レーニンの発見のポイント」のページで改めて見ることにしましょう。

※この「項」に関するより深い理解にために、是非、ホームページ4-1「☆不破さんは、『賃金、価格、利潤』の賃金論を「「ルールある経済社会」へ道を開いてゆく」闘いに解消し、『賃金、価格、利潤』を労働運動にとって何の意味もないガラクタの一つに変えてしまった。」及びホームページ4-2「☆不破さんが言うように、「社会的バリケード」をかちとり「ルールある経済社会」へ道を開いてゆくことこそが、資本主義社会を健全な経済的発展の軌道に乗せる道だなどと、マルクスは一度も述べたことはない。」を参照して下さい。

Ⅲ、科学的社会主義の思想は未来社会の展望と道筋を示した

 

新しい社会の形成要素と古い社会の変革契機

☆マルクスは、資本主義の発展は「生産過程の物質的諸条件および社会的結合を成熟させるとともに、生産過程の資本主義的形態の矛盾と敵対関係とを(成熟させ──青山加筆)、したがってまた同時に新たな社会の形成要素と古い社会の変革契機とを成熟させる」ことを『資本論』で明らかにしています。

 科学的社会主義の思想は、資本主義的生産様式の矛盾の本質と矛盾の深化した現れ、そしてその中で形成される新たな社会の形成要素と古い社会の変革契機とを国民・労働者階級に明らかにし続けなければなりません。

※「資本主義的生産様式の矛盾の本質と矛盾の深化した現れ」及び「新たな社会の形成要素と古い社会の変革契機」についての詳しい考察は、ホームページ「1、今を検証する」「2 二一世紀はどこに向かって進んでいるのか」及び「3.新しい人、新しい社会」の各ページを、是非、参照して下さい。

新しい社会の発展の展望と道筋を示した

☆マルクスは、『ゴータ綱領批判』で「共産主義社会のより高度の段階において、すなわち諸個人が分業に奴隷的に従属することがなくなり、それとともに精神的労働と肉体的労働との対立もなくなったのち、また、労働がたんに生活のための手段であるだけでなく、生活にとってまっさきに必要なこととなったのち、また、諸個人の全面的な発展につれてかれらの生産諸力も成長し、協同組合的な富がそのすべての泉から溢れるばかりに湧きでるようになったのち──そのときはじめて、ブルジョア的権利の狭い地平は完全に踏みこえられ、そして社会はその旗にこう書くことができる。各人はその能力に応じて、各人はその必要に応じて!」(岩波文庫P38-39)と述べています。

 この文章は社会の発展と人間の発展とが渾然一体となって進む唯物論の見方による社会発展の展望が述べられています。ここでは、社会の仕組みの発展についてその概略を見ることとし、次の「③新しい社会の人間の発展の展望を示した」で、人間の発展について簡単に見ていきたいと思います。

 マルクスは、資本主義的生産様式の社会という資本独裁の社会を倒して生まれる労働者階級独裁の新しい生産様式の社会を「生まれたばかりの共産主義社会」または「共産主義社会の第一段階の社会」と呼び、それに続く社会を「発展した共産主義社会」または「共産主義社会のより高度の段階の社会」と呼んで区分しました。

 そしてマルクスとエンゲルスは、前者を「民主主義」や「平等な権利」が残り、「諸個人が分業に奴隷的に従属」した「精神的労働と肉体的労働との対立」の残存する「労働が義務」として課された社会、「死滅しつつある国家」ではあるが「国家」のある「必然性の国」と見て、後者を「民主主義」や「平等な権利」という概念そのものの不要な、「労働が生活にとってまっさきに必要なこと」となる「精神的労働と肉体的労働との対立もなくなった」、国民を強制する「国家」などのない「自由の国」と見ていました。

 マルクスはこのように、未来社会についても、唯物史観の目をもって、空想を排し、その発展段階に照応する姿を提示しました。

 

新しい社会の人間の発展の展望を示した

☆「生まれたばかりの共産主義社会」、「共産主義社会の第一段階の社会」は「諸個人が分業に奴隷的に従属」した「精神的労働と肉体的労働との対立」のある社会ですから、人間の発達を図るためには「民主主義」や「平等な権利」が必要です。

 そして、「共産主義社会の第一段階の社会」から「共産主義社会のより高度の段階の社会」への移行について、『資本論』は「……しかし、これは(共産主義社会の第一段階の社会──青山)やはりまだ必然性の国である。この国のかなたで、自己目的として認められる人間の力の発展が、真の自由の国が、始まるのであるが、しかし、それはただかの必然性の国をその基礎としてその上にのみ花を開くことができるのである。労働日の短縮こそは根本条件である。」(大月版 ⑤ P1051)と述べています。

 「必然の王国から自由の王国への人間の飛躍」の時期である「共産主義社会の第一段階の社会」=「社会主義社会」を経て、「自己目的として認められる人間の力の発展」、「諸個人の全面的な発展」が図られ、「ただ物質的に十分にみち足りており、日に日にますます豊かになっていくだけでなく、肉体的、精神的素質の完全で自由な育成と活動を保障するような生活を、社会的生産によってすべての社会の成員にたいして確保」(エンゲルス『空想から科学へ』新日本文庫P71)される社会を、マルクスとエンゲルスは「自由の国」「自由の王国」と呼び、その過程を上記のように捉えていました。

 

レーニンに引き継がれた未来社会へのバトン

☆科学的社会主義の思想を確信し、このような未来社会の展望を引き継いだレーニンは、ロシア革命をめざす運動のなかで、未来社会の基本的なあり方について、そして、そのような社会を作っていく労働者階級の成長の仕方について、マルクス・エンゲルスの思想を発展させロシアで花開かせるために努力しました。

 その内容は、ホームページ3-3「国家と社会を民主的に組織することこそが社会主義社会への途であることを示した(仮称、作成中)」及び3-5〈付録〉レーニンから学ぶ手がかりの提示(労働者階級の成長の仕方を探究し、実践したレーニン)(仮称、作成中)を、是非、参照して下さい。

 乞う、ご期待!!!