2-2-4 誤った意見(その4)

地方創生・地域の活性化・内発的発展で日本は元気になる?!

地方創生・地域の活性化・内発的発展で日本は元気になる?!

 

日本全国、都市も農村も疲弊している

 資本の身勝手な行動と政府のその後押しにより、地方は〝高度成長〟の中で過疎化が進み、〝産業の空洞化〟の中で都市は産業の厚みがなくなり、地方は生活の基盤さえ失う危機にさらされています。だから、都市にも地方にも、豊かな生活を保障するバランスのとれた経済と社会のシステムが必要です。

 

地方創生・地域の活性化・内発的発展に必要なこと

地方創生や、地域の活性化や、内発的発展などというかけ声だけで地域が元気になり、日本経済が健全な姿になるわけではありません。地域で富を生みだし、豊かな地域をつくるためには、地域の自然を生かし地域の自然を守ることができるような地域の産業を創設することが必要であることはいうまでもありません。しかし、その必要がある地域こそ、生産性が低く、資本主義的生産様式のもとで置き去りにされてきた地域です。だから、そういう地域こそ、生産性の高い、〝儲かる〟大企業の首根っこを摑んで「招聘」し、その社会的役割を果たさせ、重層的な産業構造をつくる必要があります。

 

核心を衝かないどころか、混乱を持ち込むだけ

地方創生や地域の活性化をいう人たちは、このことについて黙して語りません。しかし、〝内発的発展〟を主張する人たちは、その正当性を主張するためか、企業誘致そのものにケチをつけるかイギリスのラダイトなみの思考水準を堂々と披露して、混乱を持ち込みます。

 

①イギリスのラダイトなみの思考水準

 〝イギリスのラダイトなみの思考水準を披露する〟例を紹介すると、自治体問題研究所理事の多田哲子さんの『住民と自治』誌上のエッセイによれば、2012年の自治体学校のパネル討論で、パネラーの一人が、グローバル企業による国民の資産(=労働者が作りだした富)の海外持ち出しに対して、「『出ていったら、もう帰ってくるな』というのが一番にいたいことです」と言って「大喝采!」を受けたそうです。そして、多田氏自身もこのエッセイの中で、上記の発言に輪をかけて、「大企業や金持ちなど亡国の輩は、海外にでていってもらったらいい」(『住民と自治』2012年9月号)と述べています。

 

②企業誘致にケチをつけるだけ

 また、〝企業誘致にケチをつける〟例として、「日本共産党」は、『赤旗』(2021/11/24)の一面に、tsmcの誘致に関し、「台湾企業に税金4000億円も」という記事を出し、また、2022年1月16日にも、性懲りもなく、国民の立場からの積極的な提案などいっさいせず、tsmcの誘致を全面否定する主張をしています。これでは、真面な経済学者からも地域住民からもそっぽをむかれ、基幹産業の労働者をはじめ労働者階級からもそっぽをむかれても、自業自得と言わざるを得ません。

 『赤旗』は、tsmcが〝政府の上げ膳据え膳のサービス〟と〝日本の低賃金〟を食い逃げするのを防ぐために、政府に、tsmcが米国に移転を強要された技術を含め日本への技術移転を求めさせ、補助金の食い逃げをさせないよう強く求めるとともに、日本に製造業を復活させるために、グローバル資本の行動を規制するためのルールと日本からの富の流出を防ぐための具体策を、しっかり、提示すべきなのです。

 

これでは、資本が笑うだけ

地方創生や、地域の活性化や、内発的発展などという、かけ声だけの「政策」(?)は、このように、資本の行動によって日本経済が空洞化し日本全体が疲弊していることに目を背け、資本にその責任をとらせて、富と雇用を日本に戻し、生産性の高い産業を日本の津々浦々に復活させるという、真っ当な考えをもっていません。だから、資本の役割について、黙して語らないか、トンチンカンな攻撃をするだけのものとなってしまっています。

 資本の痛いとこを衝かず、政府が地方に産業を誘致することを妨害するかのようなことをいって、地域住民からも労働者からも孤立する。これでは、資本が笑うだけです。

 こんな地方創生・地域の活性化・内発的発展で、日本が元気になるはずなどありません。