マルクス・エンゲルスについてもっと詳しく知りたい人のために

『資本論』を中心とするマルクス・エンゲルスの著作の抜粋(その5)

E、資本主義社会Ⅲ

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E、資本主義社会Ⅲ

15経済の基礎理論、16農業、17小経営

 

このページの紹介

このページは、マルクス・エンゲルスについてより詳しく知っていただくために、マルクス・エンゲルスの著作の重要な部分を抜粋して「Aマルクス・エンゲルスと資本論」から「J、検討すべき課題ほか」までの10ページに分類した中の「E、資本主義社会Ⅲ」のページで、下記の15~17のテーマが扱われています。著作の紹介の仕方は、短いフレーズのものは直接紹介し、若干の長さのあるものはPDFファイルに落とし込み、みなさんの利便性を考慮いたしました。

 

このページのテーマ

15、経済の基礎理論

16、農業

17、小経営

 各テーマは、『資本論』と久留間鮫造氏編『マルクス経済学レキシコン』を中心に抜粋したものです。出典が「○-[ ]」と表示されているものは、『レキ シコン』の「○」号の文書番号「[ ]」に載っていることを示しています。『レキシコン』に載っているテーマについては、何かの機会に全文をデーター化したものを除き、一部をデーター化したり、要旨を述べるにとどめています。お手数ですが、直接『レキシコン』を参照して下さい。ひととおり完成したら、全ての文章のデーター化にチャレンジしたいとおもいます。

 

15、経済の基礎理論

15-1 アリストテレスの貨殖術と家政術
  貨幣の役割…家政術の貨幣は必要な商品との交換を目的とし、貨殖術の貨幣は流通を通じて貨幣の増殖を目的とする。(大月版『資本論』① P199)
  利子の非難…「高利が憎まれるのはまったく当然である。というのは、ここでは貨幣そのものが営利の源泉であって、それが発明された目的のために用いられる のではないからである。じっさい、貨幣は商品交換のために生じたのに、利子は貨幣をより多くの貨幣にするのである。…利子は貨幣から生まれた貨幣であり、 したがって、すべての営利部門のうちでこれが最も反自然的なものである。」(大月版『資本論』① P216)

15-2 アリストテレスの主人(=奴隷主)の仕事と現代
  主人が主人としての実を示すのは、奴隷の獲得においてではなく、奴隷の利用においてである。十分な資力があれば、これを監督者にまかせ、自身は国務に従事 したり哲学したりするのである。マルクスはこれを現代に当てはめてみている。(大月版『資本論』④ P482B3-483B8)

15-3 奴隷労働の正当性と賃金労働の正当性の類似点
 (大月版『資本論』④ P483B1-484B4)

15-4 指揮労働の歴史的意味
(大月版『資本論』④ P485B9-486F10)
この意味のわからない連中がエンゲルスやレーニンを誹謗する。

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15-5 株式企業において、管理賃金についての新たな欺瞞が発展する
(大月版『資本論』④ P489B12-1)
現代の社外取締役のもてはやされ様を想像させる。


15-6 近代的経済の真の科学の始まりと重商主義
(大月版『資本論』 ④ P420F2-B1 )

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15-7 資本主義的生産の発展における重商主義の国民的性格
(大月版『資本論』⑤ P1006F5-1007F8)

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15-8 いわゆる本源的蓄積について
 (大月版『資本論』②P932-6)  ※「11-2いわゆる本源的蓄積について」と同一文章。

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11-2 いわゆる本源的蓄積について.pdf
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15-9 資本は、頭から爪先まで毛穴という毛穴から血と汚物をしたたらせながら生まれてくる
「資本主義的生産様式の「永久的自然法則」を解き放 ち、労働者と労働諸条件との分離過程を完成し、…自由な「労働貧民」に、この近代史の作品に、転化させるということは、こんなにも骨の折れることだった 〔tantae molis erat〕のである。……資本は、頭から爪先まで毛穴という毛穴から血と汚物をしたたらせながら生まれてくるのである。」(大月版『資本論』② P991B10-6) ※「11-4」と同一の文章。

15-10 「商品」の分析 
  マルクスは「概念」、「価値概念」から出発しない。だから、価値なるものを使用価値と交換価値に分割するのではない。「そうではなくて、労働生産物の具体 的な社会的姿態が、「商品」が、一方においては使用価値であり、他方においては「価値」──交換価値ではない、なぜなら(交換価値は、商品に含まれている 「価値」の現象形態であり)たんなる現象形態はそれの固有の内容ではないから──なのである。」②-[51](アードルフ・ヴァーグナー著「経済学教科 書」への傍注)

15-11 商品一個当たりの剰余価値の絶対量は何によって定まるか
  「商品一個当たりの剰余価値の絶対量は、第一次的には労働の生産性によって定まるのであって、ただ第二次的にのみ支払労働と不払労働とへの労働の分割によって定まるのである。」(生産される商品の量は生産性の変数だから。──青山)(大月版『資本論』④ P385B10-9 )

15-12 商品だから商品資本なのではない
 「貨幣を貨幣として特徴づけ商品を商品として特徴づける独自な諸属性や諸機能を貨幣や商品の資本性格から導き出そうとするのは、まちがいなのであり、ま た逆に 生産資本の諸属性を生産手段としてのその存在様式から引き出すのも、やはりまちがいなのである。」( 大月版『資本論』③P99B3-101F1)*だから、社会主義で商品の廃止を前提とすることは正しくない。─青山
HP「J検討すべき課題ほか」〈市場と貨幣のとらえ方〉27-2に再掲。

15-13 価値は商品生産とともに消滅する  
②-[77](カウツキーあてのエンゲルスの手紙 1884.9.20)
商品・市場についての私(青山)の考え──商品(購入する財)は社会主義社会でも残る、その意味で、市場は残る。合理的な生産のためには生産のために投入された労働量を測る必要も残る。ただし、商品の価格は社会的に統制されて設定される。

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15-14 資本家は自分が前貸しする資本のどの部分についても等しい利益を期待する
 「資本家は自分が前貸しする資本のどの部分についても等しい利益を期待する。」(マルサス『経済学原理』)「このような、前貸し総資本の所産と観念されたものとして、剰余価値は、利潤という転化形態を受け取る。」(大月版『資本論』④ P44B5-1)
資本に関する青山の考え
☆総資本が価値を生みだすという考えは認められる。
☆なぜなら、不変資本も労働により生みだされたものだからである。
☆しかし、資本主義社会は資本が利子を生み、労働者の創りだした富を横取りし、人間の幸福のためではなく、資本の増殖、資本家の利益追求のための社会システムになっている。
☆私たちは資本(蓄積された富)を社会発展のために活用しなければならない。

15-15 不変資本と可変資本
 不変資本と可変資本の区別(大月版『資本論』① P273B11-4 )

15-16 資本の有機的構成とは
「資本の価値構成が資本の技術的構成によって規定されており、これを反映しているかぎりで、われわれはこの価値構成を資本の有機的構成と名づける。」(大月版『資本論』④ P185B2-1 )

15-17 マルクスの言う固定資本と流動資本
  生産資本のうち、資本の一回転で生産物に価値が移転されるものを流動資本といい、 それ以外のものを固定資本という。「ところが、この貨幣資本と商品資本 という二つの資本形態は流通部面をすみかとしているために、A・スミス以来の経済学者は、われわれが後に見るように、これに惑わされてこの二つの資本形態 を流動資本という範疇のもとで生産資本の流動部分とごちゃまぜにしてきたのである。じっさい、この二つの資本形態は、生産資本にたいして流通資本ではある が、しかし固定資本にたいする流動資本ではないのである。」(大月版『資本論』③P203B3-204B7)

15-18 資本の種類
貸付(貨幣)資本と機能資本(機能資本には産業資本と商業資本が含まれる。)
生産資本家=産業資本家=機能資本家 (大月版『資本論』④ P420~)

15-19 労働力の価値
(大月版『資本論』② P673F1-8) ※HP「D、資本主義社会Ⅱ」〈12、賃金〉も参照。

15-20 労働力の価格と剰余価値との量的変動            12-5と同一文章。
 「労働力の価格と剰余価値との相対的な大きさは次の三つの事情に制約されているということが見いだされた。(1)労働日の長さ、すなわち労働の外延量。(2) 労働の正常な強度、すなわち労働の内包量。したがって一定の時間に一定の労働量が支出されるということ。(3)最後に労働の生産力。したがって生産条件の発展度に従って同量の労働が同じ時間に供給する生産物の量が大きかったり小さかったりするということ。」(大月版『資本論』② P673B3-P674F1 )

15-21 必要労働・必要労働時間、剰余労働・剰余労働時間、剰余価値率
 剰余価値率 〈『資本論』第一巻 第1分冊 大月『資本論』① P281F1-4 〉
  必要労働・必要労働時間〈『資本論』第一巻 第1分冊 大月『資本論』① P282F1-4 〉
  剰余労働・剰余労働時間〈『資本論』第一巻 第1分冊 大月『資本論』① P282F12-16 〉

15-22 必要労働とは
「必要労働とは、この労働力の維持と再生産のために必要な労働であって、この維持や再生産の条件がより貧弱であろうとより豊富であろうと、より有利であろうと より不利であろうと、それの必要なことに変わりはないのである。」(大月版『資本論』⑤ P1052B2-1053F1)

15-23 マルクスの言う剰余価値は…
「マルクスの言う剰余価値は、生産手段の所有者が等価なしに取得する価値総額の一般的な形態なのであって、この形態が、マルクスによってはじめて発見されたまったく独特な諸法則に従って、利潤や地代という特殊な転化した諸形態に分かれるのである。」(大月版『資本論』③ P17F8-11 エンゲルスの序文 〉

15-24 剰余価値は全資本主義的生産の理解のための鍵を提供する
( 大月版『資本論』③ P24F6-26F3 エンゲルスの序文 〉

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15-24 剰余価値は全資本主義的生産の理解のための鍵を提供する.pdf
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15-25 労働者は、自分たちの生産物の非常に大きな部分の、非消費者である    重要!!
    (『剰余価値学説史』大月文庫⑥P174~179) ※12-10と同一文。

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12-10 労働者は、自分たちの生産物の非常に大きな部分の、非消.pdf
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15-26 価値の分解と価値の発生について
(大月版『資本論』⑤ P1092F3-10)
HP「C、資本主義社会Ⅰ」の9-4「魔法にかけられ転倒され逆立ちした…」参照。

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15-26 価値の分解と価値の発生について.pdf
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15-27 シーニアの「最後の一時間」のウソ
  11時間半労働のうち「毎日一時間だけ短縮されるならば純益はなくなる」というのはウソである。「最後の一時間で剰余価値を生産し」、「最後から二番目の一時間で自分の労賃を生産した」とすれば、労働者は5¾時間で自分の労賃を生産し、残りの5¾時間で資本家の純益を生産したのであるから、労働時間が「毎 日一時間だけ短縮されるならば」、剰余労働が4¾に減り、剰余価値率が8214/23%になる。(大月版『資本論』① P291-296 )

15-28 「安売り親方」〝underselling  master〟
「職人の不払い労働が彼らの競争の基礎をなしている」「夜間労働はロンドンにおいてさえ1824年にはじめて本式に足場を固めた」(大月版『資本論』① P327 )

15-29 絶対的剰余価値と相対的剰余価値
「労働日の延長によって生産される剰余価値を私は絶対的剰余価値と呼ぶ。これにたいして、必要労働時間の短縮とそれに対応する労働日の両成分の大きさの割合の変化から生じる剰余価値を私は相対的剰余価値と呼ぶ。」(大月版『資本論』①P415)

15-30 利潤率の傾向的低下の法則
 「資本主義的生産は、不変資本に比べての可変資本の相対的減少の進展につれて、総資本のますます高くなる有機的構成を生みだすのであって、……充用される生き ている労働の量が、それによって動かされる対象化された労働の量すなわち生産的に消費される生産手段の量に比べてますます減ってゆくのだから、この生きている労働のうち支払われないで剰余価値に対象化される部分も充用総資本の価値量にたいしてますます小さい割合にならざるをえないのである。ところが、この、充用総資本の価値量にたいする剰余価値量の割合が利潤率なのであり、したがって利潤率はしだいに低下せざるをえないのである。」(大月版『資本論』④ P267B10-268F3 )

15-31 利潤率低下の法則と利潤の絶対量の増大と利潤率低下の法則の例外   重要!!
 「さ らに、ここではちょっと言っておけばよいことであるが、労働者人口が与えられている場合に、労働日の延長や強化とか、労働の生産力の発展にもとづく労賃の減価とかによって、剰余価値率が増大するならば、剰余価値の量は、したがってまた利潤の絶対量は、不変資本に比べての可変資本の相対的な減少にもかかわらず、増大しなければならないのである。」(大月版『資本論』④ P267B10-268F3 )
 青山──上記のみならず、20c+10v+10m が 25c+5v+15mと生産性が向上した場合は、利潤率が以前よりも高くなるような剰余価値を生みだすことは可能である。

15-32 「利潤率低下の法則の最も重要な帰結」に関して      重要!! 

「利潤率の低下の法則が経済学者たちに起こさせる恐怖の念は別として、この法則の最も重要な帰結は、この法則は諸資本の集積の不断の進展を前提し、したがってまた小資本家たちからの資本の取上げの不断の進展を前提する、ということである。このことは、結局、資本主義的生産の全法則の結果なのである。」⑦-[95]P85 上11-15 (マルクス『剰余価値学説史』Ⅲ)

 このことに関して、1995年以降の日本について、生産性の低いマンパワーを必要とする部門の資本主義的生産の限界について、PDFファイルを参照して下さい。

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15-32 利潤率低下の法則の最も重要な帰結に関して.pdf
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15-33 資本主義的生産の基本的矛盾と資本主義の根本矛盾           重要!!
 ⑦-[100]P127-129の下線部(大月『資本論』第3巻④ P306-7)と⑤P1129、レキシコン⑦-[137]P251(マルクス『剰余価値学説史』Ⅲ)、『空想から科学へ』P73
※HP「C、資本主義社会Ⅰ」の「8-14」を含む、HP「F、資本主義社会Ⅳ」の「19-20 恐慌の究極の根拠は」及び「19-22 資本の過剰生産と商品の過剰生産の法則」も参照!!

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15-33 資本主義的生産の基本的矛盾と資本主義の根本矛盾.pdf
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15-34 資本の過剰とは資本が資本として機能できなくなることである
 (大月版『資本論』Ⅲ P314-21)

15-35 削除して15-33に統合

15-36 貨幣はそれ自体としてはけっして現実の再生産の要素ではない
 「そ の場合には一方にある貨幣が他方での拡大再生産を呼び起こすのであるが、そういうことが行われるのは、そこには貨幣なしでも拡大再生産の可能性があるから である。なぜならば、貨幣はそれ自体としてはけっして現実の再生産の要素ではないからである。」(大月版『資本論』③P606F2-11)
だから、貨幣の量を市場に増大させても、そのことによって設備投資がふえるわけではない。──青山 ※「15-63」も参照して下さい。

15-37 投機マネー規制の根拠   重要
「商人資本は、ある種の流行品での投機の突発的な発作が示すように、異常な速さで大量の資本を一つの事業部門から引きあげたり、また同様に急激に他の事業部門 に投じたりすることができる。しかし、本来の生産──工業や農業や鉱業など──ではどの部面でも資本が一つの部面から他の部面に移動するのにはかなりの困 難があり、特に、既存の固定資本のために移動は困難である。」(大月版『資本論』④ P261B7-262F3 )

15-38 商品取引資本の位置
 商品取引資本は、「けっして商品資本および貨幣資本の形態以外の形態をとらず、けっして生産資本の形態をとらないで、いつでも資本の流通部面に閉じ込められたままの貨幣資本」。(大月版『資本論』④ P343B2-344F4 )

15-39 商人資本存在のメリット
  ①「(2)商人が専門にこの業務に従事するので、」W→Gの変態を、より早くすませることができる。②いろいろな産業資本家のいろいろのな商品種類を買うことができる。(大月版『資本論』④ P345B2-346F7 )

15-40 商人資本の役割
  商人資本は①産業資本の生産性とその蓄積とを促進する②利潤率を高くする③資本のうちの直接に生産に充用される部分を増大させる。(大月版『資本論』④ P351B5-1)

15-41 商人資本の回転の二つの限界
  ①産業資本の生産期間は商人資本の回転にとっての第一の限界である。②総個人的消費の速度と範囲とによって制限されている。( 大月版『資本論』④ P379B7-380F3 )

15-42 商人資本の運動  ( 大月版『資本論』④ P380B8-2 )
HP「F、資本主義社会Ⅳ」の「19-9 恐慌がまず出現し爆発するのは」と同一文章。

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15-43 商人が自由に出来ること
「彼が自由に決定できるただ一つのこと、…そのただ一つのことは、彼が高い商品を取引しようと思うか安い商品を取引しようと思うかということだけである。」( 大月版『資本論』④ P383B11-4 )(それと、流行をつかみ、工夫すること。──青山

15-44 利子とは
 「利子というのは、利潤のうち機能資本が自分のポケットに入れないで資本の所有者に支払ってしまわなければならない部分を表わす特殊な名称、特殊な項目にほかならないのである。」( 大月版『資本論』④ P423F4-6 )

15-45 貨幣の使用価値の譲り渡し
「貸し手も借り手も、両方とも同じ貨幣額を資本として支出する。しかし、ただ後者の手のなかだけでそれは資本として機能する。」(大月版『資本論』④ P439F6-445F6)

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15-46 利子率
「利子率の自然的な率というのは、むしろ、自由な競争によって確定された率のことである。」

(大月版『資本論』④ P445F7-446F4、453F5-8 )
  なお、『資本論』第3巻第5編第34章〈大月『資本論』⑤ P703~〉は、利子率は需要と供給によって決まることを述べている。

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15-47 平均利子率
「この場合に競争そのものがそれ(利子率──青山)を決定するとすれば、この規定(中位の利子率の規定──青山)はそれ自 体として偶然的であり純粋に経験的であって、ただ衒学または妄想だけがこの偶然性を必然的なものとして説明しようとすることができるのである。」(大月版 『資本論』④ P454F4-6)

15-48 産業循環と利子率
(大月『資本論』④ P450F8-11)
 なお、(大月『資本論』第3巻 第2分冊⑤ P624F6-625B 1)にも同様な、より詳しい記述。
  恐慌下での極度の高利という現象は現代では起きていないが、スペイン等で起きつつあるのか。

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15-49 利子率と利潤率との規定のされ方の相違
 「一般的利潤率は事実上次のものによって規定されている。(1)総資本が生産する剰余価値に よって。(2)総資本の価値にたいするこの剰余価値の割合によって。(3)競争によって。……つまり、一般的利潤率は、実際に、需要供給関係によって直接 に規定される利子の市場率とはまったく違った、それよりもずっと複雑な諸原因からその規定を汲み出すのであり、……一般的利潤率そのものは、ただ利潤の最 低限界として現われるだけで、現実の利潤率の経験的な、直接に目に見える姿としては現れないのである。」(大月版『資本論』④ P459B3-460F7)

15-50 世界市場が利子率と利潤率とに及ぼす影響の差    重要
 「(2)世界市場が一国の生産条件にはかかわりなく利子率の確定に及ぼす直接的影響は、それが利潤率に及ぼす影響に比べてずっと大きいということ、」(大月版『資本論』④ P460F8-11 ) 「世界市場」の18-11と同一の文章!!

15-51 利潤の利子と企業者利得とへの質的な分割
 「利子は資本自体の果実、生産過程を無視しての資本所有の果実であり、企業者利得は、過程進行中の、生産過程で働いている資本の果実であり、したがって資本の充用者が再生産過程で演ずる能動的な役割の果実である」(大月版『資本論』④ P468F3-470B3 )

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15-52 利潤の利子と企業者利得とへの質的な分割による搾取の曖昧化
(大月版『資本論』④ P478B4-480F12 )

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15-53 利子の存在の歴史的経緯と資本主義
(大月版『資本論』④ P471B11-1 )

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15-54 取引を容易にするものはすべて投機をも容易にする
「『取引を容易にするものはすべて投機をも容易にする。取引と投機とは多くの場合に非常に密接に結びついているので、どこまでが取引でどこからが投機なのかを言うことは困難である。……銀行のあるところではどこでも資本はより容易により 安く手に入れることができる。資本が安いということは投機を助長するのであって、ちょうど肉やビールの安いことが大食や酔っ払いを助長するようなものであ る。』(137、138ページ)」J・W・ギルバート『銀行業の歴史と原理』、ロンドン、1834年、からの引用。(大月版『資本論』④ P511F3-7 )

15-55 銀行取引の三形体
 ①資本の前貸しとして②貨幣の前貸しとして③売買として
(大月版『資本論』④ P545B4-546B5 )

15-56 株式会社の歴史的意味
(大月版『資本論』④ P556B4-557F5、557B6-1、559B11-560F4、560F9-561F3、561B8-562F5 )

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15-57 資本主義的生産における信用の役割
 (大月版『資本論』Ⅲ P562-3) 19-24「恐慌と信用」も参照。
 
15-58 信用制度に内在する二面的な性格  15-57の続き。
「信 用制度に内在する二面的な性格、すなわち、一面では、資本主義的生産のばねである他人の労働の搾取による致富を最も純粋で最も巨大な賭博・詐欺制度にまで 発展させて、社会的富を搾取する少数者の数をますます制限するという性格、しかし、他面では、新たな生産様式への過渡形態をなすという性格、──この二面 性こそは、ローからイザーク・ペレールに至るまでの信用の主要な告知者に山師と予言者との愉快な雑種性格を与えるものである。」(大月版『資本論』④ P563B4-1)

15-59 国債証券や株式等の所有権の価値の独立な運動
(大月版『資本論』⑤ P598F8-600B7)

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15-60 「貨幣資本」の大部分は純粋に架空的である   重要
「利子生み資本や信用制度の発展につれて、同じ資本が、または同じ債権でしかないものさえ が、いろいろな人手のなかでいろいろな形で現われるいろいろに違った仕方によって、すべての資本が二倍になるように見え、また場合によっては三倍にもなる ように見える。この「貨幣資本」の大部分は純粋に架空的である。」(名目的な貨幣資本=利子生み資本=この「貨幣資本」か?──青山)(大月版『資本論』 ⑤ P602F8-B6)

15-61 貸付可能な貨幣資本と再生産的資本
(大月版『資本論』⑤ P646F1-650F6)

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15-62 思惑取引の手段としての貨幣資本
(大月版『資本論』⑤ P646F1-650F6)

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15-63 「通貨主義」の誤り、貨幣の量と商品価格の非関連性
 「商品の需要供給はその商品の市場価格を調節する」「商品価格は通貨量の変動によって調節されるという主張が、今度は、割引率の変動は貨幣資本から区別された現実の素材的資本にたいする需要の変動を表わすという文句の下に隠されてしまうのである。」(大月版『資本論』⑤ P709B8-710F7) ※「15-36」も参照して下さい。

15-64 1844年の銀行法
「イギリス政府は、銀行券の金兌換に伴う困難を克服するために、ロバート・ピールの発議で1844年にイングランド銀行の改革に関する法律を制定した。」(大月版『資本論』⑤ 注解P13 (64))

15-65 1844年の法律(銀行法)の作用 銀行業者にとって、小さな事業家にとって
「こ の法律は各種の銀行業者や資本家」{貨幣資本家}「に豊かな収穫を与えたからである。しかし、それは、安心して取決めができるような割引率の安定を必要とする誠実勤勉な事業家にとっては、非常に悪い作用をした。……それは貨幣貸付を最高に有利な事業にした。」(第4488号)「小さな事業家や正直な商人で大資本をもっていない人々……この法律は彼らを非常に痛めつける。」(第4490号)(大月版『資本論』⑤ P720B2-721F10)

15-66 利子生み資本の資本主義的生産様式への従属
  「イギリスの近代的信用制度の形成に理論的に随伴しそれを促進する著述の現実の内容」は「利子生み資本を、一般に貸付可能な生産手段を、資本主義的生産様 式の諸条件の一つとしてこの生産様式に従属させるという要求にほかならないであろう。」*現代は利子生み資本による資本主義の狂乱。(大月版『資本論』⑤ P780F1-4)

15-67 信用制度は資本主義的生産様式を最高最終の形態まで発展させる推進力
(大月版『資本論』⑤ P782F7-783B10)

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15-67-2 結合労働の生産様式の社会への槓杆としての信用制度、そして信用制度の未来

「最後に、資本主義的生産様式から結合労働の生産様式への移行にさいして信用制度が強力な槓杆として役だつであろうことは、少しも疑う余地はない。とはいえ、それは、ただ、生産様式そのものの他の大きな有機的な諸変革との関連のなかで一つの要素として役だつだけである。これに反して、社会主義的な意味での信用・銀行制度の奇跡的な力についてのもろもろの幻想は、資本主義的生産様式とその諸形態の一つとしての信用制度とについての完全な無知から生まれるにである。生産手段が資本に転化しなくなれば(このことのうちには私的土地所有の廃止も含まれている)、信用そのものにはもはやなんの意味もないのであって、これはサン・シモン主義者たちでさえも見抜いていたことである。他方、資本主義的生産様式が存続するかぎり、利子生み資本はその諸形態の一つとして存続するのであって、実際にこの生産様式も信用制度の基礎をなしているのである。」

(『資本論』大月版⑤P783-784)

15-68 経済学者たちが考える地金流入の前提
 ⑧-[306] P405下9~407上3 (「エンゲルスあてマルクスの手紙」1851.2.3)

15-69 産業循環と過剰人口
「産業循環の浮き沈みは、これはまたこれで、過剰人口に新兵を補充するのであり、過剰人口の最も精力的な再生産動因の一つになるのである。」(大月版『資本論』Ⅰ P823-5)

15-70 相対的過剰人口の三つの形態
(大月版『資本論』② P835F1-839B3 )

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15-71 産業循環の流れ
⑨-[327]全部 P35 (マルクス『受救貧困と自由貿易──迫りくる経済恐慌』『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』1852.11.1付)

 

16、農業

分割地所有は、その性質上、労働の社会的生産力の発展、労働の社会的な諸形態、資本の社会的な集積、大規模な牧畜、科学の累進的な応用を排除する。

16-1 農業における資本主義的生産様式の大きな功績
一方では農業の合理化がはじめて農業の社会的経営を可能にしたということ、他方では土地所有の不合理を示したということ、これは資本主義的生産様式の大 きな功績である。この生産様式は、それがもたらした他のすべての歴史的進歩と同じようにこの進歩をもさしあたりまず直接生産者の完全な窮乏化によって買い 取ったのである。」(大月版『資本論』⑤ P796B7-4)

16-2 資本主義的生産における農業の否定的側面
(大月版『資本論』⑤ P798F8-13 本文中の注27)

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16-3 農業人口の相対的減少は資本主義的生産様式の本性に根ざしている
「農業人口を非農業人口に比べて絶えず減らして行くということは、資本主義的生産様式の本性に根ざしていることである。なぜならば、工業(狭義の Industrie)では可変資本に比べての不変資本の増大は、可変資本が相対的には減少しても絶対的には増大するということに結びついているが、他方、 農業では、一定の地片を利用するために必要な可変資本は絶対的に減少して行き、したがって、可変資本が増大できるのはただ新たな土地が耕作されるかぎりで のことであるが、このことはまた非農業人口のいっそう大きな増加を前提するのである。」(大月版『資本論』⑤ P822B6-1)

16-4 農業の資本主義化──資本主義的生産様式が行う最後の征服
「資本主義的生産様式による農業の占領、自営農民の賃金労働者への転化は、事実上この生産様式一般が行なう最後の征服なのだから、これらの不等(租税の賦 課や農業の発展度や資本配分等が均等でないこと──青山)は農業では他のどの産業部面でよりも大きいのである。」(大月版『資本論』⑤ P838B5-4)

16-5 資本主義的生産様式を前提としての生産物の価格
(大月版『資本論』⑤ P838B5-4)

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16-6 差額地代
(大月版『資本論』⑤ P961)

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316-7 土地は改良して次の世代に伝えなければならない
(大月版『資本論』⑤ P995F3-B2)

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16-8 封建的生産様式の地代と資本主義的生産様式の地代
(大月版『資本論』⑤ P1024B9-1026F1)

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16-9 中世の都市と農村との関係
「中世には、イタリアでのように都市の例外的な発展によって封建制度が破られていたのではないところでは、どこでも農村は都市を政治的に搾取しているので あるが、他方、都市は、どこでも例外なく、その独占価格やその租税制度やその同職組合制度やその直接的な商人的詐欺やその高利によって農村を経済的に搾取 しているのである。」(大月版『資本論』⑤ P1026F9-12)

16-10 分割地所有の限界
「分割地所有は、その性質上、労働の社会的生産力の発展、労働の社会的な諸形態、資本の社会的な集積、大規模な牧畜、科学の累進的な応用を排除する。」(大月版『資本論』⑤ P1034B9-8)

16-11 資本主義下の「小さな土地所有」と「大きな土地所有」の弊害
「どちらの形態でも、土地を、共同的永久的所有として、入れ替わって行く人間世代の連鎖の手放すことのできない存在・再生産条件として、自覚的合理的に取り扱うことに代わって、地力の搾取や乱費が現われるのである。」(大月版『資本論』⑤ P1039F2-1042B1)
 両方とも、批判は、農業の制限や障害としての私有にたいする批判に帰着する。

 

17、小経営

この私人が労働者であるか非労働者であるかによって、私有もまた性格の違うものになる。一見して私的所有が示しいる無限の色合いは、ただこの両極端のあいだにあるもろもろの中間状態を反映しているだけである。

17-1 小ブルジョアは、進歩した社会では
彼は同時にブルジョアでも民衆でもあるのです。…矛盾を神化します。…彼自身が、動きつつある社会的矛盾にすぎないのです。」④-[32]P169上2~11 (アンネコフあてのマルクスの手紙 1846.12.28)

17-2 中間身分(小ブルジョアジー)の歴史的性格
 ④-[40]P221下8~223上1 (マルクス=エンゲルス『共産党宣言』)

17-3 私的所有が示す色合い…私人が労働者であるか非労働者であるか
この私人が労働者であるか非労働者であるかによって、私有もまた性格の違うものになる。一見して私的所有が示しいる無限の色合いは、ただこの両極端のあいだにあるもろもろの中間状態を反映しているだけである。」(大月版『資本論』ⅠP993)

17-4 小経営の意義と限界
小経営は、社会的生産と労働者自身の自由な個性との発展のために必要な一つの条件である。……この生産様式は、土地やその他の生産手段の分散を前提する。それは、生産手段の集積を排除するとともに、同じ生産過程のなかでの協業や分業、自然にたいする社会的な支配や規制、社会的生産諸力の自由な発展を排除する。それは生産および社会の狭い自然発生的な限界としか調和しない。……自分の労働によって得た、いわば個々独立の労働個体とその労働諸条件との癒合にもとづく私有は、他人の労働ではあるが形式的には自由な労働の搾取にもとづく資本主義的私有によって駆逐されるのである。」(大月版『資本論』② P993B8-994F10)