3-3-2

党支部は、党を作り、草の根から民主主義を組織するよりどころ

党支部の役割

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党支部は、党を作り、草の根から民主主義を組織するよりどころ

党はどこにあるか〈どこになければならないか!〉

 

レーニンの指摘

レーニンは、党はどこにあるか──どこになければならないか──という党のあり方の根本問題について、『拙劣な行為の拙劣な擁護』の中で次のように述べています。

「党は、政治生活に参加している自覚したマルクス主義的労働者の大多数がいるところにある。

 ……(青山の略)

 党は、もっとも重要な諸問題に完全な、系統的な、正確な答をあたえる党の決議のまわりに、労働者の大多数が結集したところにある。党は、これらの決議の統一性と、それを誠実に実行しようとする単一の意志とによって自覚した労働者の大多数が統合されているところにある。」(全集、第19巻P473~474)(※1)

  科学的社会主義の党にとって当たり前のはなしですが、党は資本が作り出す矛盾とたたかい社会主義社会をめざす労働者階級のなかにあります。だから、資本がつくりだす矛盾のど真ん中にいる労働者階級に、今ある矛盾を解決して社会主義につながるような、完全な、系統的な、正確な答をあたえることができるような党を作らなければなりません。

 だから、不破さんが、21世紀になって革命観の大転換(※2)をして完成させた、グローバル資本の行動の暴露も、労働者階級の歴史的使命も捨て去った「2004年綱領」の中にも、不破さんが、閉じこもって、「資本主義発展論」の研究を重ねている「党社会科学研究所」の中にも、党はありません。

(※1)全文は、ホームページ5「温故知新」→5-3「レーニンの考えの紹介」→B-1「4綱領、綱領上の任務、党、党(員)の任務」の4-21「党はどこにあるか。どこになければならないか!」を参照して下さい。

(※2)不破さんの「革命観の大転換」についての詳しい説明は、ホームページ4-19「☆不破さんは、マルクスが1865年に革命観・資本主義観の大転換をしたという、レーニンも気づかなかった大発見を、21世紀になっておこない、マルクスの経済学をだいなしにしてしまった。」を参照して下さい。

 

党支部は、自らの成長と職場・地域の民主主義の組成のために学び・組織する場

党は、政治生活に参加している自覚したマルクス主義的労働者のいるところにあります。

 科学的社会主義の党の基礎組織(「共産党」では「支部」という)は、将棋の駒でも鉄砲玉でもありません。資本とたたかい、自らの成長のための学び、職場・地域の民主主義を築き組織するための原点の場であり拠点の場です。だから、党の中心は、党の基礎組織があるところにあります。

 それでは、党の中心として、党そのものを支える党「支部」は、どのような要素・役割を持たなければならないのか、一緒に見ていきましょう。

党の基礎組織の役割

党の基礎組織は、すべての党員が情勢・課題について共通認識をもつための広場

このように〝党〟の原点であり拠点である科学的社会主義の党の基礎組織がやるべきことは、まず、党員が情勢・課題をしっかりとつかむことです。その場合、各自が自ら考える力を養え、発揮できるよう、十人十色の意見を十分に出しあえる場を保障することが不可欠の絶対条件です。

 問題を共通認識にするために考え・学ぶ。そのためには、独習と集団学習、そして討論の徹底が不可欠です。また、学習にあたって、問題が、①自分たちの力で解決に近づくことのできる職場の要求や地域の要求なのか、それともより広範な力を結集しなければ解決できない広域的な問題なのか②現在の政治体制下で解決可能な課題なのか、それとも〝国民の新しい共同社会〟のもとで解決可能となる課題なのか、そして、今ある矛盾・課題が〝国民の新しい共同社会〟とどのように繫がっているのかをしっかり考えてつかむことが大切です。

党の基礎組織は、職場・地域の大衆運動の芽ばえ、発展のための推進者

党の基礎組織での十人十色の意見交換を通じて、それぞれの職場・地域の状況に合った共通認識、統一的な問題(課題)をつかんだら、それを職場・地域に提起して、共感・協働意識が職場・地域に芽生えるように、うまずたゆまず努力することが必要です。

 職場・地域との問題のフィードバックと共有のために、①職場での運動の展開は、まず労組職場会議での提起・討論をおこない、同時に、ビラやアンケート等による職場全体への問題の提起をおこなう②地域での運動の展開は、関連する市民運動、公民館サークル等での問題の提起・討論をおこない、同時に、ビラやアンケート等による地域全体への問題の提起をおこなうなど、民主的な段取りを踏んだ運動を進めることにより、広範な人びとの参加と参加意識を高める努力を行い、運動への積極的な参加者の輩出を促す取り組みが求められています。なお、地域の課題については、当該地域の自治会長や各種団体を含む「地域会議」がつくられている市町村においては、そのような組織を〝住民自治の原点〟として位置づけ、地域の課題を積極的に提起することが、非常に、重要です。

 これらを通じて、労働者・市民の中に〝by the people〟の思想を根付かせ〝民主主義〟を革新するうねりをつくるために力を尽くすことが大切です。

 また、地域の基礎組織の守備範囲の地域の中に党員のいない企業があるときは、地方議員を先頭に、労働者党員と協力して、地域の基礎組織は当該企業の労働者の階級的自覚を高めるの宣伝・組織活動に積極的に取り組むことが重要です。

党の基礎組織は、新しい生産様式の社会を産みだす助産師である党の国民との最初の接点として、「後援会」という本末転倒の組織を解体して「革新共同の会」の組織化に努める

私は、ホームページ3-3-4「民主主義を貫く党運営と闊達な議論の場の設定を」のなかで、「『人民的議会主義』に基づいた、科学的社会主義の党らしい、真の運動が作られていないこと」、その結果「運動と結びついた政策集団が形成されていない」ことを指摘しました。そして、「共産党」が「労働者階級の党として、国民の党として、運動に軸足をおいた党として、国民とともに日本をよくするための〝国民共同の会〟を生み、育て、その中から立派な公職選挙候補を輩出し、運動と結びついた政策集団を形成することが、喫緊の課題」であることを指摘しました。

 残念ながら、「共産党」には伝統的にそのような資質に欠けた面があるようです。「共産党」は、「民族民主統一戦線」とか「民主連合政府」とか国民の〝共同〟をイメージするような言葉を多用しますが、どうも、政党間の組合せしか考えていないように思われます。後で取り上げる東京都知事選もそのような流れの一環のように思われます。ちょっと古い話ですが、私が大学を卒業してすぐ、人材不足のため、早々に組合の役員になったとき、〝統一戦線〟を重視するものとして、当時、集会等の主催団体の一つとして『赤旗』で不動の地位を築いていた「安保破棄諸要求貫徹実行委員会」という名の「共産党」から労働組合や婦人団体等々までが参加する団体に着目し、その活動に積極的に参加すべくその活動内容を調べ、その結果、その実態の無さにがっかりさせられた記憶があります。また、現在、「革新懇」という「政治運動団体」がありますが、私の住んでいる自治体では、年に一度総会を兼ねた講演会をやるだけで、趣旨に沿った熱心な「政治運動」も懇談も、見たことも聞いたこともありません。まったく市民とは隔絶されたところで、独自の「政治運動」をしているようです。

 しかし、新しい生産様式の社会を展望した「革新懇」のような目標を持った組織が〝党〟があるところには必要なのです。〝党〟の基礎組織は、新しい生産様式の社会を産みだす助産師である党の国民との最初の接点として、「後援会」という本末転倒の組織を解体して「革新懇」のような目標を持った〝革新共同の会〟とでもいうべき組織・運動体の組織化に努めることが必要です。

 道を照らし、国民と一緒に運動し、国民の運動を後押しする〝前衛党〟を国民が「後援」するというのもおかしな話ですが、「共産党」の「後援会」なのに、党員以外の「後援会」員がほとんどいない「後援会」が「後援会」として堂々と立派に活動するという漫画のような世界は直ちに改めなければなりません。

 科学的社会主義の立場から、「共産党」は、党員だけの「後援会」を改め、いまある「共産党」の「後援会」は宗旨変えをして、〝日本をよくするための国民共同の会〟或いは〝革新共同の会〟とでもいう名称に変更して、同じ志をもつ労働者・国民大衆が多数参加する〝革新共同〟の組織の拡大に、職場・地域という草の根から努め、未来社会への感心・共感をもつ人の輪を拡め、その中から共同の意志を持つ「党」内外のリーダーが輩出するよう努め、国政選挙の候補者を含め公職選挙の候補者は、党外の人を含め、その中から、もっともふさわしい人を公明正大に選ぶなど、市民との、その名に恥じない日常的な活動、コミュニケーションのとり方が求められています。

これらの前提として、「党」のあり方の認識を根本から改める

労働者・市民が主役の〝民主〟運動の発展を瞳のように大切にする

このテーマは、次のページ3-3-6「〝前衛党〟は市民革命の助産師に徹しよう」でより深く見ていきますので、その導入的な部分と捉えてお読み下さい。

 ちょっと古い話になりますが、2016年7月におこなわれた東京都知事選での「自覚的民主勢力」たる「明るい革新都政をつくる会」の対応は、労働者・国民自身の運動として、草の根から民主主義の陣地を築いていくという考え方とは正反対のものでした。「明るい革新都政をつくる会」は、鳥越俊太郎氏が野党共闘で都知事選に出馬すると決まるやいなや、前回の選挙で推薦した宇都宮健児氏が政策を明らかにして出馬表明しているなかで、まだ選挙公約もない鳥越氏の支持をはやばやと決めてしまいました。所属団体の民意をくみ上げて運動を組織していくのが「明るい革新都政をつくる会」の役割のはずです。構成団体の会員・組合員の判断があっての「明るい革新都政をつくる会」の判断でなければならないはずです。このような「明るい革新都政をつくる会」の、都民・労働者のなかに民主主義をはぐくむという姿勢のなさには、あきれるばかりです。

 科学的社会主義の〝党〟の基礎組織は、このような事態に無関心でいることなく、職場・地域の労働者・国民とともに「明るい革新都政をつくる会」のあり方を再確認し、草の根から民主主義の陣地を築いていくための努力をしなければなりません。職場・地域の労働者・国民こそ、樹立されるであろう〝民主都政〟を築き支える最も大切な構成員なのですから。覆されることのない〝民主都政〟とは、民が主となってみんなでつくるみんなの都政であることを忘れてはなりません。

 「党」は、労働者・市民が主役の〝民主〟運動の組織化と市民権の確立に助力し、その発展を瞳のように大切にし、新しい生産様式の社会へのアプローチのしかたの認識を根本から改める必要があります。

なお、2022年の参院選は、2016年参院選から始まった「野党共闘」の限界が明らかになりました。2022年の参院選は、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(通称:市民連合)を含め、市民の国政との関わり方の脱皮と新たな模索の必要性が痛感させられるものとなりました。この点についての詳しい論及は次のページ3-3-6「〝前衛党〟は市民革命の助産師に徹しよう」で見ていきます。作製中!!ご期待下さい。

党中央は革命観を改め、伝える活動の意義を再認識せよ

現在の「共産党」に決定的に欠けているものに伝える活動があります。

  「共産党」に伝える活動が欠ける根本的な原因は、社会主義革命・社会変革における政党と人民の役割についての無理解にあります。社会主義社会の建設は共産主義社会にいたるまで、〝by the people〟によって遂行されるものです。〝あらゆる国事への、全国民大衆の、権利を真に同じくした、真に全般的な参加の完全な発展〟(レーニン)によってのみ新しい生産様式の社会は実現されます。人民による、人民のための、人民の社会でなければ、資本の横暴を抑えるはずの国家も専制国家に転落し、資本主義に逆戻りするだけです。

 「党支部」にとって、すべての党員が情勢・課題について共通認識をもつための広場を持つことが必須条件であるように、労働者・国民にとっても、正しい認識を得て新しい生産様式の社会の担い手となるためには、正しい情報が労働者・国民に伝えられ、それが労働者・国民の信念にならなければなりません。単に「共産党」が議会で多数を占めても社会主義社会は実現しません。労働者・国民が資本主義の矛盾と不完全さを認識し、自らが企業や社会の主人公になることが不完全な資本主義社会を乗り越える道であることを労働者・国民がはっきりと認識しなければなりません。

 しかし、いまの「共産党」は、多数者(労働者・国民)が革命の主体になるのではなく、「共産党」が議会で多数をとって「共産党」が「オーケストラの指揮者」(*1)のように振る舞うことによって社会主義社会が実現するという、「共産党」が議会での「多数の支持」を得ることだけを目的とする、不破さんの薄っぺらな「多数者革命論」によって支配されています。その結果、資本主義を全面的に暴露して、労働者・国民自身が新しい生産様式の社会の担い手になっていくのを援助するという科学的社会主義の党の思想は捨て去られ、選挙の時だけ、電話で「ルールある資本主義」を手短に訴え、党員を街頭に大動員して、たたかったような気になっています。昔、〝共産党〟のお家芸だった、紙の爆弾といわれた『赤旗』号外の全戸配布など、影を潜めてしまいました。

 労働者・国民一人ひとりに政治と経済の真実を知ってもらうためには、資本主義の矛盾をバクロし、新しい生産様式の社会の必然性と必要性を理解しもらうためのビラの全戸配布は欠かせません。

 国政選挙のない時期にも、いや、国政選挙のない時期にこそ、四半期に一度程度のペースで、一種類のビラを3カ月かけて、年4回、年間を通じて系統的に、全戸配布ができるような体制を、早急に、全党に整備すべきです。そのために、㋐党中央はその時々の国民の関心事と政治的課題を正確につかみ㋑県・地区・市委員会の意識改革を行い、居住支部に属さない党員が積極的に地域で活動できるような体制を整える必要があります。いま頑張って、このような活動を行わなかったら、「党」は益々小さくなり、その機会は失われてしまいます。いまがラストチャンスなのです。党員も『赤旗』も減って財政が苦しいからビラが配布できないというのなら、わけの分からない理屈をつけて「政党助成金」(*2)の受け取りを拒否するという利敵行為を直ちに改め、「政党助成金」をしっかりもらって使えばいい。

 「共産党」は、議会で「共産党」が増えることだけを目的とした活動を改め、〝by the people〟の思想を根本にすえて、伝える活動をベースにすべての活動を展開する必要があります。

(*1)「オーケストラの指揮者」に関する不破さんの独走的な主張について、詳しくはホームページ4-16「☆不破さんは、エンゲルスには「過渡期論」が無いと言い、『国家と革命』と『空想から科学へ』は「マルクスの未来社会像の核心」を欠いていると誹謗・中傷する。」及びホームページ4-20「☆「社会変革の主体的条件を探究する」という看板で不破さんが「探究」したものは、唯物史観の否定だった」を参照して下さい。

(*2)「政党助成金」についての「共産党」の誤った考えの詳しい説明は、ホームページ3-3-7「民主主義の発展にブレーキをかける「政党助成金」への対応」を参照して下さい。