元気な日本を創るための国民の戦略(その2)
このページのPDFファイルはこちら
元気な日本を創るための国民の戦略(その2)
★資本主義的生産様式が生み出す〝「私企業」と「有産階級」と「労働者階級」が生み出す矛盾〟と〝「私企業」と「国民・国家」との矛盾〟が日本経済を蝕んでいます。
★これらの矛盾を労働者階級と国民の立場で解決するための新しい運動が資本主義の先にある社会を創る主体的な国民をつくります。
★現在の日本経済を立て直すことが、次の時代、本当の人民主権の時代を切り開きます。
「私企業」と「有産階級」と「労働者階級」が生み出す矛盾
★資本主義的生産様式の社会とは、資本が生産手段を持たない労働者(無産の労働者)を働かせて富(剰余価値)を搾取して資本を増やすことによって経済を発展させて社会を前進させる仕組みの社会ですから、社会を前進させるうえでの対立・矛盾が資本と労働者との間に必然的に生じます。また、資本は有産者の出資で構成されていますから、有産者は資本が労働者から搾取した富の一部を受け取りますが、ここでも資本の取り分と有産者の取り分との対立・矛盾が生じます。そして、個別の資本は、金融の逼迫に備えたり、自らの拡大のためのチャンスを掴むためや投資の対象が見つからないために一定額の富を常に「死蔵」することによって、資本主義的生産様式の社会が個別の私企業の集合体で成り立っているがゆえに富の有効活用ができず社会的生産の足かせになります。これらは、資本主義的生産様式の社会が「私企業」と「有産階級」と「労働者階級」という相対立する構成要素によって社会的生産が行われている結果うまれる矛盾です。
「ホームページ6A-1-8」で見たものとその補足
★2025年1月5日に公開したホームページ6A-1-8「お札の中の渋沢栄一は、今の日本に泣いていないか?!」で、私たちは、現在の日本経済を少しでも元気にさせたいと純粋に考える人たちの立場に立って、資本主義の信奉者でありながら資本主義の発展を妨げる「私企業」と「有産階級」の傲慢さと資本主義への裏切りを暴露するものとして、資本主義的生産様式が必然的に生み出す富の「死蔵」を明らかにし、放置すれば私企業と資産家の懐に「死蔵」されたままのお金を国内に「投資」(株式市場にお金を投入することではない)させる方策の意義とその必要性を見てきました。また、補足として、資本主義的生産様式の発展のためには消費の拡大が不可欠であるにもかかわらず、その場しのぎの強欲の塊である「私企業」と「有産階級」が消費税を推進して資本主義経済の発展を妨げ、国民生活を疲弊させていることも再確認いたしました。
ここでもう一つ、「資本主義」大賛成の「有産階級」とその取り巻き連中の資本主義への裏切りの事例を紹介します。
★「有産階級」と日本取引所グループ(JPX)と証券会社と「日経新聞」などは、株価を上げて「有産階級」の富を増やし、「市場」を活況にして日本取引所グループ(JPX)と証券会社の儲けを増やすために、企業に配当を増やしたり自社株買いをおこなうことを要求し続けています。
しかし、企業が配当を増やしたり自社株買いをすることは、企業が事業を拡大して資本主義経済を発展させるという資本主義の大義に基づいて労働者から剰余価値として搾り取った貴重な富を惜しげもなく「市場」にばら撒くことで、タコが自らの足を食うようなもので、資本主義の大義に反し、資本主義的生産を発展させるうえで全く正しくありません。
私企業は、「株主」という、資本主義的生産様式を法的に支えている、お金で株券を買っているだけの「有産階級」と、多少の不祥事や経営の失敗があっても大目に見てもらえるWin-Winの関係を持つために、資本主義の大義を放り出して資本主義的生産の発展を阻害する行為を恥ずかしげもなく行っています。
★労働者階級は、このことに強く怒り、企業経営への関与を強めるべきです。「賃金を上げろ‼」と言っているだけでは、「連合」も「全労連」も同じ穴のムジナです。配当増や自社株買いをやめさせ、そのお金を投資にまわして「産業の空洞化」を回復させ、日本経済と国民生活を豊かにする経済活動をめざす〝企業経営への関与〟を強めることこそ、労働者階級の企業での主役としての未来を切り開く道です。そして、労働者階級に寄り添う政党ならば、企業のタコ足食いの意味をしっかりと世間に訴える義務があります。
「私企業」と「国民・国家」との矛盾
★国家と資本が一体となって自国の資本が海外の資源を収奪することを通じて経済を発展させた〝資本主義の「黄金時代」〟といわれる経済の高成長期が終わり、1970年代から、先進資本主義諸国の資本は、富と雇用を海外に輸出することによって一層の資本蓄積を図るという新しい道に本格的に踏み出します。その結果、九二年版『通商白書』も「国際展開が進んだ企業は資本の国籍にかかわらず、現地の雇用者を多数擁し、現地の市場を中心として財・サービスを提供する。したがって自国籍企業の収益向上が直接に国民生活と関係するところは、収益の分配が主として当該国の投資家にたいして行われるという点に限定されていく傾向を有する。さらに投資家が国際的に分散していけば、その意味すら失われる」と述べて、「資本による企業の利益がその国民の利益と一致する度合いが減少」ていることを認めていますが、この時から、「私企業」と「国民・国家」との間に新たな深刻な矛盾が惹起します。(※)
(※)詳しくは、ホームページ1-1「日用品が充足され、豊かさを感じはじめた時から、日本社会の深刻な変化が始まった」及びホームページ1-4「70年代の始め以降に財界がすすめた政策」を、是非、お読み下さい。
僅かばかりの「改善」にだまされるな
★何十兆円もの赤字国債を発行しなければ予算が組めない国で──103万円の壁を上にずらして手取りを増やせ、教育の無償化に力を入れろ──などと要求しても、いの一番にやりたい軍事拡大のための財源の確保さえままならないなかで、雀の涙ほどの成果と引き換えに丸め込まれて、その限界を露呈するのは明らかです。
★政府の施策を抜本的に変えるためには、〝何十兆円もの赤字国債を発行しなければ予算が組めない国〟となってしまったこの国の経済のあり方を抜本的に改め、富が国内で生み出され、国民が豊かになるような経済を再構築しなければなりません。そのことなしに夢を実現しようとしても失敗することは、先の民主党政権が証明ずみです。志ある政党には、このことを国民にしっかり訴えて、財界の露払いのような自・公とその補完勢力による国民への目眩ましを取り除き、本当に日本を元気にするための方策を提起することが、今こそ、求められています。自・公やその補完勢力と同じ土俵で戦っていてはダメです。
日本経済の「失われた30年」の原因を知ろう
★石破首相が所信表明演説で、「30年前、日本のGDP(国内総生産)は世界全体の18%を占めていましたが、直近の2023年では4%です。そして1位だった国際競争力は、今、38位に落ちました。配当は増え、海外投資も増えた一方で、国内投資と賃金は伸び悩んできました」と言い、「付加価値の高いサプライチェーン(供給網)を国内に回帰・立地させていくこと」を通じて「賃上げと投資がけん引する成長型経済」を実現するという願望を言わざるを得ない現状に日本はあります。
★深刻で危機的なところまできている日本経済の最大の問題は「産業の空洞化」が止まることなく続いていることです。日本経済の「失われた30年」の大本の原因は、資本(私企業)が1円でも多くの儲けを得ようとして労働者階級が生み出した富(剰余価値)と労働者階級の雇用条件を決める雇用を海外に持ち出したことです。(*)円が1ドル150円台で、その結果、インフレが国民生活を直撃しているのも、その根本原因は、貿易赤字と海外直接投資と海外証券投資によるもので、「産業の空洞化」の結果と原因がもたらしたものです。国内に富と雇用を呼び戻せば貿易赤字も解消し、現在は猫も杓子も海外証券投資に走っていますが、国内企業が元気になれば海外証券投資も減少します。
(*)詳しくは、ホームページ6B-4「バブルは『日本迷走の原点』なのか」を、是非、参照して下さい。
「失われた30年」の回復のために今出来ること、やるべきこと
★日本経済を抜本的に立て直して国民のための経済にするためには、国民が政治権力を握って「資本」による企業の支配を法的にやめさせるととともに労働者階級を中心とする国民が企業を民主的に管理・運営する権限と能力を身につけた社会的生産の仕組みを実現しなければなりません。そのために、今、私たちにできることは、労働者階級を中心とする国民に資本主義的生産様式の――社会的生産を利潤の獲得を目的とする私企業が担うという仕組みがもたらす――欠陥とその結果生み出される災禍について倦むことなく明らかにし続け、労働者階級を中心とする国民が政治でも経済でもその中心にいる新しい生産様式の社会の実現のために、国民が主体的にかかわれるような運動体を構築するために知恵を絞り努力することです。
★青山は、このような大目標を達成するためには、この大目標を見据えて、「ホームページ6A-1-8」で見てきたような〝資本主義の矛盾〟と〝私企業と資産家の強欲ぶり〟を国民の前に明らかして国民本位の解決策を提示するとともに、日本の「失われた30年」の原因である資本の身勝手な行動を明らかにし、「失われた30年」を取り戻す端緒となる施策を国民に提示することこそが、今、切実に求められている、と思っています。
★そして、日本の「失われた30年」を取り戻するための端緒となる施策とは、資本が海外に輸出した富と雇用を少しでも国内に戻し、「産業の空洞化」を改善して日本経済を強くするための端緒となる施策です。そして、日本経済を強くする〝端緒〟となるためには「失われた30年」とは「資本」(私企業)が国と国民を捨てた歴史であることを志ある者が国民にしっかり説明しなければならないし、国民がそれを理解し納得することです。
★これらの前提に立って、国際収支を見てみると、ここ数年(2022年、2023年)の第一次所得収支(主として直接投資収益と証券投資収益からなっている)は30兆円弱の黒字となり、直接投資収益も20兆円弱の黒字で推移しています。この、労働者の命と汗の結晶である〝富〟と労働者の命綱である〝雇用〟を「資本」が海外に持ち出したことたによって得られる、毎年20兆円弱発生する直接投資収益金を全額国内に戻し、「資本」(私企業)に〝失われた富と雇用の穴埋め〟として国内直接投資のために継続的に活用させるならば、日本経済は目に見えて回復することでしょう。これこそが、現在の日本が資本主義のもとで経済を立て直すことのできる唯一の道です。
また、直接投資の収益を日本に戻すことで円の需要が増え、直接、円の価値を高めるとともに日本経済の復興によって貿易収支も改善し、これもまた円の価値を高めることになります。
☆そして、これらを実現させる運動は、労働者階級を中心とする国民が「私企業」と「国民・国家」との矛盾を認識し、主体的に、政治でも経済でも、その中心にいる新しい生産様式の社会への入り口に立つことを必然的に意味します。
「賃金と物価の好循環」というレトリック
★2025年1月24日のNewsモーニングサテライト(BSテレ東)で門間一夫氏は、「賃金と物価の好循環」というレトリックに関して、〝みんな(経済人や学者やマスコミのことか?)は「賃金と物価の好循環」ではなく「実質賃金と消費の好循環」が必要なことは分かっているので期待する〟旨の発言をしていました。これは、今の日本では、ある意味、勇気ある発言といってもいいでしょう。
★〝実質賃金と消費の好循環〟は、「黒田バズーカ」でインフレを煽っても、この2年間の「賃金と物価の好循環」キャンペーンでも、実現させることはできません。資本主義のもとで〝実質賃金と消費の好循環〟を実現するためには、国内に設備投資をして生産性を向上させて富を増やす以外に方法はありません。
★企業が直接投資収益金を国内に環流せず、内部留保を増やし続けているから、経済人や学者やマスコミの「みんな」は〝実質賃金と消費の好循環〟が必要なことは分かっていても、「賃金と物価の好循環」で国民を煙に巻いているのでしょう。〝実質賃金と消費の好循環〟を言った門間氏に拍手を送りたい。
日本のインフレとその誤った退治の仕方
★私は、企業が海外に富と雇用を持ち出して海外で稼いだお金を海外に滞留させていることが円安の一因をつくり、輸入品の高騰→インフレの一因となっていることを述べましたが、世間では、インフレを抑えるために金利を上げろという声が正論のようにまかり通り、あろうことか、「共産党」の『赤旗』までもがそのような主張を堂々と載せる始末です。(*1)しかし、利上げでインフレを抑えるという手法について、FRBは
、利上げによって経済を減速させ、労働市場に十分なスラック(たるみ)をもたらし、労働者の賃金を低下させることだと、憚ることなく言っています。(*2)市井の経済学者やマスコミや不破さんに転落させられた『赤旗』などに欺されないようにしましょう。
(*1)2023年4月12日の『赤旗』は、こともあろうか、山田博文氏の「金融引き締めによってインフレを抑制」するというブルジョア経済学に追従する反労働者的な主張を載せています。ホームページ6A-1-5「科学的社会主義の党の使命をわすれた『赤旗』」を、是非、参照して下さい。
(*2)「金融引き締めによってインフレを抑制」するというFOMCの利上げの意図については、ホームページ6A-3-8「FOMCの利上げを〝マルクス経済学〟で見てみよう!!」を、是非、参照して下さい。
※なお、財務省発表(2025/01/14)の2024年11月の経常収支は3兆3525億円の黒字で、第一次所得収支(海外投資から生じる利子・配当金等)が3兆4373億円の黒字となり、5ヶ月ぶりに貿易収支も979億円の黒字となったが「エコノミストからは、今後の財輸出を懸念する声が出ている。」(ロイター)とのこと。